「銭湯の一番風呂借り切り」や「地上345mのランチコース」も 東京23区のふるさと納税「返礼品」
東京23区もふるさと納税の返礼品に本腰を入れ始めています。「銭湯の一番風呂を貸し切ることができる返礼品」などユニークなものが登場しています。
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広々とした湯船につかり、リラックス。まだ誰も入っていない、最高の時間を独り占めできる「一番風呂」。風呂好きの人は、並んででも入りたいこの「一番風呂」が、ふるさと納税の返礼品になっている自治体があります。
足立区あだち未来支援室 楠山慶之室長
「(足立区には)銭湯がかなり多くあって、その文化が脈々と続いていることがあって、あまり他の自治体にはない返礼品なのかなと考えています」
来月1日から、足立区に5万円を寄付すれば、26の銭湯の中から1か所の一番風呂を2時間、5人まで貸し切りで使うことができます。
近年、東京都の自治体は、このような地域の魅力を「武器」にした返礼品に力を入れているといいます。そのワケは――
足立区あだち未来支援室 楠山慶之室長
「足立区でいうと、20億円(の税)が出ていっている状況がありまして」
税が流出しているというのです。
総務省の見込みでは、ふるさと納税による今年度の税の流出額は、東京都が約857億円と全国でダントツのワースト1位。23区だけでも、約704億円が流出する見込みです。
地方交付税が交付されている自治体では、住民税が減収となった場合、75%が国から補てんされますが、23区はこの制度が適用されないため、減収がそのまま区の財政に影響を及ぼします。
約20億円が流出した足立区は、昔懐かしいレトロなものや、開放感あふれる露天風呂があるところなど、個性豊かな銭湯を武器に寄付額の増加を狙うとともに、住民の意識向上も期待しています。
東京都浴場組合足立支部長 山田知孝さん
「新しい取り組みをどんどん取り組むことによって、店主側のモチベーションをキープする」
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一方、町工場が多い葛飾区。自動車部品など精度の高い金属加工を行う「ミツミ製作所」がその技術を生かして作ったのが、コマ「SpinX 4in1」です(寄付金額8万7000円)。
100分の1ミリ単位でバランスを調整することで、ボールペンの上でも見事に回転します。ヨーヨーとしても使うことができ、遊び心がくすぐられます。
ミツミ製作所 山田賢一代表取締役
「僕らの部品は、普段手に取ることがない部品なので、触って精度の高さを感じてもらえる商品を(返礼品に)提案しました」
葛飾区の返礼品には、他にも革細工や包丁など、町工場の技術が生かされたものが多くあります。
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東京・墨田区の東京スカイツリーの中にも返礼品がありました。
「ランチのメインディッシュになります」
香ばしく焼いた高級魚や、ワインで煮込んだ牛肉にトリュフをかけたものなど、メイン料理が選べる豪華なランチ(季節によりメニューは変わります)。地上345メートルの景色を見ながら、優雅に楽しむランチコースが墨田区の返礼品です。(寄付金額5万円/ランチ「粋」コースペア利用券※東京スカイツリー天望デッキ入場券付き)
Sky Restaurant 634 柴谷邦彦料理長
「数多くの人が、利用して来店していただいています。これを機会にして、墨田区のことを知っていただけたら」
知名度抜群の場所をきっかけに――
墨田区地域力支援部 文化芸術振興課 岩本健一郎課長
「スカイツリーを目指して来ていただいて、墨田区の産品を見て活用していただいて、ぜひ、墨田区に来て、楽しんでいただければなと思っています」
他の区でも、ふるさと納税の寄付を呼びこもうと、地域の魅力を武器にした返礼品は増えています。