アンテナショップに曲がり角 都内で閉店相次ぐ アイデアで奮闘する自治体も
都内では今年、アンテナショップが相次いで閉店するなど、“曲がり角”にさしかかっています。“直接、観光客を呼び込む戦略”が重要だとする自治体がある一方で、アイデアで奮闘する自治体もあります。
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東京の一等地、銀座に店を構える群馬県のアンテナショップ「ぐんまちゃん家」。県のキャラクターの人気に加え――
買い物した人
「昔、群馬の人からおみやげでもらったことがあったので、買ってみました」
群馬県の特産品を東京で買えるのが、なんといっても大きな魅力です。
2008年にオープンし、一時は年間の来場者数が58万人にものぼりました。しかし、コロナ禍の影響などで昨年度は13万人と大幅に減少。今月いっぱいで閉店することが決まったのです。
群馬県のアンテナショップで買い物した人
「寂しいわよね」
「寂しいわよ」
「家賃払ってあげられないけど、なくなってほしくないけど。家賃が高いのよね」
都内では今年、兵庫県や北海道美瑛町などのアンテナショップも相次いで閉店しています。
群馬県の山本知事は閉店の理由について、昨年度の売り上げ約9000万円に対し、年7000万円の高額な賃貸料に触れ、ネット通販が普及している“今の時代に合わなくなってきている”と説明しました。その上で「アンテナショップ自体が大きな曲がり角に来ているのかもしれない」と述べました。
山本知事は、東京から新幹線ですぐに行ける群馬県に“直接、観光客を呼び込む戦略”が重要だと強調しました。
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実際、“独自の戦略”で観光客を呼び込んでいるのが、都心から車で1時間半ほどの山梨・富士河口湖町です。
県の名産を多数そろえる“道の駅”「旅の駅 kawaguchiko base」は9日、大にぎわいでした。全国旅行支援で配布されるクーポンの恩恵ですが、それも今月27日に終了します。そこで、町は宿泊代金と商品券で最大7000円お得になる観光支援策を今月から新たに始めたのです。(※富士河口湖おもてなし割 全国旅行支援との併用不可)
旅の駅 kawaguchiko base 伴一訓代表
「富士河口湖おもてなし割商品券。数字(客数)で見ても明らかに効果が出ておりまして」
埼玉県から来た観光客
「写真とったりとか景色もあるので、そういうところも含めて、(名産品買うのも)直接来てという方が楽しめるので」
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アンテナショップが“曲がり角”にさしかかる中、アイデアで奮闘する自治体もあります。
東京・新橋駅の目の前にある鳥取県と岡山県のアンテナショップは、開店前から行列ができていました。お目当ては1回500円のカプセルトイです。(※1日30個限定 今月11日まで)
1等はなんと、この冬にますます高騰する、“蟹取県”こと鳥取県が誇る松葉がに2万円相当です。
1等が当たった人
「一生分の運を使ってしまったんじゃないかと」
ほかにも館内のレストランにある「カニパフェ」や「蟹重」、外れでも500円の買い物券がもらえて損なしです。
コロナ禍で売り上げは8割ほど落ち込みましたが、ユニークなイベントを行うことで、コロナ禍前に戻りつつあるということです。
そして9日は、移住の相談に訪れる人も見られました。
「鳥取県で就職したいと思います」
これもアンテナショップの重要な役割です。
鳥取県東京本部 河上一雄さん
「(鳥取・岡山は)気軽になかなか行ける距離でもないですし、(お客さんと)コミュニケーションをとりながらより深く知ってもらえる。大変意義のある施設だと思って、やってます」
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“曲がり角”の先は光か闇か、アンテナショップの真価が問われています。