「独自の子育て支援策」で地価アップも?――“土地の値段”押し上げるポイントは バブル期以来…全国平均の伸び率「2.3%」
土地取引の目安となる2024年の公示地価が発表されました。住宅地と商業地を含めた地価の全国平均は前年から2.3%上昇。伸び率はバブル期以来33年ぶりの高さとなりました。値段を押し上げる要因には何があるのでしょうか? 全国の例を紹介します。
「大阪・道頓堀にある、『新世界串カツいっとく道頓堀戎橋店』が今、注目です。ビリケンさんがかわいいからではありません。土地の価格が前の年より25%もアップし、東京・大阪・名古屋の三大都市圏ではトップの伸び率です」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「何があったのか、店に電話で聞きました。去年12月にオープンし、毎日ほぼ満席。平日は7割が外国人観光客だそうです」
有働キャスター
「インバウンドが増え、人が来る、土地の値段が上がるということですね」
小野委員
「26日発表された全国の公示地価では住宅地と商業地を含めた土地の全国平均が前年から2.3%上昇。伸び率はバブル期以来33年ぶりの高さでした」
小野委員
「何ができて土地の価格が上がったのか、例を紹介します」
「(商業地で)熊本・大津町は前年比33.2%、熊本・菊陽町は30.8%、北海道・千歳市は30.3%上がりました。地価の跳ね上がり方は全国トップ3です」
「これらの市町には半導体の工場や関連工場がやってきたり、建設中だったりします。技術者などが大勢来ることで、商業地としての価値も高まります」
小野委員
「栃木県の宇都宮駅の周辺は7.5%、福井県の敦賀駅の周辺は2.1%、それぞれ上昇しました。あるものができたからです」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「ショッピングセンターなどでしょうか?」
小野委員
「答えは、新たな電車です。(今年3月16日に敦賀まで延伸された)北陸新幹線や、(去年8月に開業した宇都宮の次世代型路面電車 LRT)「ライトライン」など、交通網を整備すると人が集まり、土地の値段も上がるということです」
小野委員
「鳥取・日吉津村(ひえづそん)は県内で面積が一番小さく、駅もなければ中学校もありませんが、地価が前年より 2.1%アップしました」
落合さん
「(花に囲まれた子どもが写った村提供の)写真に“子育て支援感”があります」
小野委員
「要因の1つに考えられるのが、独自の子育て支援策です。この村は子どもが生まれた全ての親にそれぞれの状況に合わせた支援プランを提供し、移住者を呼ぶことにもつながっています。人口減少が続く鳥取県で唯一、人口が増えています」
有働キャスター
「政策によって人の流入を促したら土地の価格も上がったということです。そういったアイデアの可能性はどうですか?」
落合さん
「僕ならアートか大学かなと思います。アートならパブリックアートを置いたり、芸術祭をやったり。例えば寺田倉庫は、倉庫街をアートの街に変えて、地価が上がりました」
「大学は新しくつくることはあまりありませんが、合併したり新しい研究所を併設したりすると、魅力的な環境であれば海外から学生が来てくれます。僕のいる筑波大学は50年前までは特に(何も)ない空間でした」
「そういう意味では大都会ではなくても活性化していけますし、人口が減っても豊かにはなれるのではないでしょうか」
有働キャスター
「土地の値段、と聞くとバブル時代を経験した私は『いつかまた弾けるのではないか』と心配にもなりますが、このまま安定して伸びるのか、取り残されてしまう地域はないのか。賃上げを含め、頑張って働く人たちがみんなで実感できる回復であってほしいです」
(3月26日『news zero』より)