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全国の死者「第6波」で最多に……ピークアウトいつ? 全国感染9万7000人超、専門家の見方は 「まん延防止」13都県で延長へ

2022年2月10日 9:48
全国の死者「第6波」で最多に……ピークアウトいつ? 全国感染9万7000人超、専門家の見方は 「まん延防止」13都県で延長へ

新型コロナウイルスによる「まん延防止措置」について、13都県の期限が約3週間延長される運びとなりました。全国の死者は第6波で最多となりました。コロナ病床や救急現場で苦闘する大学病院や、負担の増えるクリニック、救急車の消毒業者を取材しました。

■焼き肉店、オープン1年も苦境

都内の焼き肉店で9日、「7歳誕生日おめでとう!」とお祝いする家族の姿がありました。

オーナーが「あら(お店と)お誕生日一緒ですね」と声を掛けると、母親は「(新型)コロナ(ウイルス)の中、一番ひどい時にオープンしたと(テレビで)見ました」と言いました。店はちょうど1年前、緊急事態宣言下でも「肉の日」に合わせオープンしました。

繰り返された「緊急事態宣言」や「まん延防止措置」により、この1年で通常営業ができたのは約3か月間のみでした。現在も時短要請に従って営業し、苦しい状況が続きます。

■まん延防止、「36都道府県」に拡大

そんな中、政府は既に「まん延防止措置」を適用している地域のうち、東京など13都県について、2月13日までの期限を3月6日まで延長する方針を発表。2月12日からは高知県にも適用する方針で、対象は36都道府県に拡大されます。

岸田首相は9日夜、「1都12県の『まん延防止等重点措置』については、さらに3週間延期することで10日、諮問したいと思っています」と述べました。

焼き肉店のオーナーは「もっと違うやり方あるんじゃないかっていうのは、正直思いますね。もう1年、このまま(要請が繰り返される状況)だったら正直、もう無理でしょうね。(店を)閉めざるを得ないと思います」と話しました。

■臨時で…東京と大阪「1000床」増

東京都では9日、新たに1万8287人の感染が確認されました。全国では9万7833人で、第6波で最多となる161人が亡くなりました。

病床のひっ迫を防ぐため、岸田首相は9日夜、「臨時の医療施設を合計約1000床、新たに増設いたします」と表明しました。宿泊療養施設を活用するなどして、東京に660床、大阪に350床、それぞれ増やす方針です。

国は法律に基づき、約200人の看護師の派遣をするよう、全国の公的な病院に対して要求しました。

■肺炎で「重症化」も…大学病院で

医療現場では厳しい戦いが続きます。神奈川・伊勢原市の東海大学医学部付属病院では、1月にオミクロン株に感染した70代の重症患者が、ベッドにうつぶせに横たわっていました。患者は「一時期苦しくて苦しくて…」と言います。

行われていた治療は、高濃度の酸素を鼻から投与する「ネーザルハイフロー」です。人工呼吸器より、体の負担が少ないといいます。

医師は患者に、「今の(酸素の)量が限界なので、これ以上となると(人工呼吸器を)挿管ということになっちゃって、挿管するとなかなか管抜けないので、今のうつぶせ(腹臥位療法)とか頑張っていきましょうね」と声を掛けました。

この男性患者は、アレルギーのためワクチンを打てず、基礎疾患もあります。オミクロン株は感染することで基礎疾患そのものが悪化し、重症化する人が多い傾向にあります。この男性は、肺炎で重症化しました。

■コロナ受け入れ急増…救急現場は

この病院では1月末からコロナ患者の受け入れが急増しました。2月9日時点で、コロナ病床は重症向けが10床のうち5床、中等症向けは18床のうち16床、それぞれ埋まっています。

その影響は、救命救急センターにも及んでいます。

「何分くらいで着きそうですか?」「1時間」。医師が電話でやり取りしていたのは、受け入れを30件断られた搬送依頼のケースでした。

高熱で新型コロナ感染の疑いがあり、30か所に断られた、都内に住む80代の救急患者を受け入れることになりました。PCR検査の結果、女性は陰性で、胆管炎という診断でした。

東海大学医学部付属病院高度救命救急センター・守田誠司所長
「感染状況がこれ以上どんどん進んでいってしまうと、(救急も)優先度をつけながら治療せざるを得なくなってしまう可能性もある」

「重症化している方の多くはワクチンを1回も打っていない。可能な限り、打てる方は3回目を打っていただけると、医療崩壊にもつながらなくてありがたいかなと思っています」

■発熱外来「2時間」延長、健康観察も

発熱外来を設けている東京・新宿区の「新宿ホームクリニック」では、患者の急増に合わせ、通常より2時間延長して夜9時ごろまで診察しています。また発熱外来以外にも、東京都からの依頼で、コロナの陽性患者の健康観察も手掛けています。

医師
「どうですか、症状のほう。息苦しい?」

患者
「のどの痛さが…。それで呼吸がしづらいというところですね」

現在、約40人の患者を担当し、電話などで毎日、健康状態をチェック。全ての業務が終わるのは深夜0時を過ぎるといいます。

■患者搬送の救急車「消毒」急増

また感染拡大に伴い、コロナ患者らを搬送した救急車の消毒の依頼が増えています。去年12月には17件だった依頼が、今年1月は650件ほどに急増しました。

都から依頼を受ける消毒業者
「消毒箇所に抜けがないように。爆発的に増えちゃっていますから、この先どうなるんだろうという不安はちょっとありますね」

■専門家の見方は…感染ピークいつ?

感染拡大はいつ収まるのでしょうか。9日夜、厚生労働省アドバイザリーボードの専門家が会見で、見解を示しました。

脇田座長
「(まん延防止措置適用の)35の都道府県のうち、7県で新規感染者数が減少傾向、あるいは上げ止まりとなっています。大都市においても今週先週比、報告日別の実効再生産数が1に近づきつつあることから、新規感染者数がピークを迎える可能性がある」

ただ、検査のひっ迫などでデータが実態とかい離している可能性も指摘されているとして、引き続き、感染対策を徹底することが必要だと呼び掛けました。
                              
(2月9日『news zero』より)