陸自ヘリ不明から1週間 サンゴが探知機に反応…「複雑な海底の地形」と「潮の流れ」が捜索の障壁に
沖縄県の宮古島沖で陸上自衛隊のヘリコプターが消息を絶って、13日で1週間です。24時間態勢で捜索が続けられていますが、サンゴによる複雑な「海底の地形」と「潮の流れ」が捜索を難しくしています。
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13日午前9時前、沖縄県宮古島市では、自衛隊員らがボートに乗って捜索へと向かっていく姿がありました。
捜索活動が続く中、事故直前の動きが徐々に分かってきました。ヘリが消息を絶つ約5分前、宮古島市の狩俣小学校の防犯カメラが捉えた映像を見ると、画面の右から左に黒っぽい機体のようなものが飛行しているのが分かります。さらに、その1分半後には別の映像でも同じようなものが映っていました。
6日午後3時46分、航空自衛隊の宮古島分屯基地を離陸し、その約10分後の午後3時56分ごろに消息を絶ったヘリ。どちらの映像も、宮古島北部の飛行経路に近い場所で撮影されました。一定速度で飛行していて、異変などはみられず、このあと、消息を絶つ直前にトラブルがあったとみられています。
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24時間態勢での捜索が続いていますが、搭乗していた10人の行方がいまだ分かっていません。捜索が難航している原因とみられるのが、複雑な「海底の地形」と「潮の流れ」です。
自衛隊のトップは捜索の難しさについて、サンゴによる複雑な「海底の地形」が影響しているといいます。
自衛隊 吉田圭秀統合幕僚長(13日午後2時半すぎ)
「水中探知機において水中の様子を探索するわけですけど、サンゴ礁の岩礁等についても反応するため、ひとつずつ水中カメラ等で確認していると、かなりの時間を要することをご理解いただければ」
宮古島のサンゴの分布図を見てみると、ヘリが消息を絶った周辺にはたくさんのサンゴがあります。このサンゴが探知機に反応するため、ヘリが沈んでいたとしても機体と区別がつきにくいというのです。
地元でダイビングショップを経営する男性も「ボコボコボコボコあるのは、それぞれが古いサンゴなんですね。こういうもの(サンゴ)が全部ソナーに映ってくると思うんですよ」
さらに、「潮の流れ」にも原因があるといいます。
第11管区海上保安本部 木村琢磨海洋情報企画調整官
「当初は南からの風でしたが、その夜半過ぎには北からの強い風に変化して、風と水面の摩擦によって引っ張られて強い流れが発生する」
海上保安庁の担当者は、海流や潮の満ち引きだけでなく、風向きの変化も加わることで潮の流れが複雑だったのではないかと話します。
この風の影響は大きく、去年4月に北海道の知床で起きた観光船の沈没事故でも“漂流”に関するシミュレーションを出した「水難学会」が公開した、“漂流物がどこに流されているか”の予測でも、6日は北向きに移動していたのが、風向きの変化と一緒に、南向きに大きく変わっているのが分かります。予測では、最大で40キロ程度流されている可能性もあるということです。
ヘリが消息を絶ってから13日で1週間。海上保安庁などは範囲を広げて捜索を続けています。