能登半島地震 水が使えない中で支援続く
能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県では発生から2週間余り経ったいまもおよそ1万8000人が避難所で生活しています。輪島市や珠洲市などは全域で水が使えない状況で、支援が続いています。秋田から被災地に派遣され活動してきた国の職員や、医師に状況を聞きました。
国土交通省の緊急災害対策派遣隊=テックフォースとして被災地に派遣されていた秋田河川国道事務所の職員出川智一さんと八柳辰司さん。2人は今月4日から11日まで石川県で給水支援を行いました。
車中泊をしながら能登町や七尾市で支援活動をするなかで、現地で暮らす秋田県出身の女性から声をかけられたといいます。
秋田河川国道事務所・八柳辰司一さん「並んでいる被災者で赤ちゃんを抱いたお母さんがいらっしゃいまして。実はその方が大曲出身で。給水車のナンバーに秋田って付いているものですからお声がけしてみましたというお話だったんです。同郷の我々に出会えて笑顔を見せてくれたんですけども本来の給水活動の中で、被災した方々に寄り添った活動ができたのかなと」
石川県では16日時点でおよそ5万2000戸で断水が続いています。そのほかにも復旧が進んでいないライフラインがあり、秋田河川国道事務所はいまも職員を派遣して道路状況の調査などを進めています。
断水で水が使えない状況は被災地の医療や福祉にも大きな影を落としています。県の災害派遣医療チーム=DMATの一員として活動した大曲厚生療センターの医師前野恭平さん。看護師や薬剤師とともに今月9日に秋田を出発し、12日まで七尾市にある災害拠点病院、能登総合病院で患者の搬送や受け入れ先の調整を担いました。
大曲厚生療センター・前野恭平医師「全くトイレも使えなくって患者さんを洗ったり体をきれいにしたり使うのにその水もなかなかなくってなんとか備蓄で1週間頑張ってもらったんですけど、そこから先 長期に難しいのでいま施設にいる方を別のところに移動してほしいということで80人一気に」
広い範囲での断水が長期化していて、その影響は感染症対策にも及んでいます。厳しい寒さもあってインフルエンザなどの感染が拡大している被災地。石川県の馳知事は被災者に生活環境が整ったホテルや旅館などへの2次避難を呼びかけています。
大曲厚生療センター・前野恭平医師「災害があってもインフラが戻ってくればなんとかそこの場所で住んだままいるんですけども、水の復旧が本当に厳しくっておそらくいま施設・病院にいる方避難所で暮らしている方でもかなり多数の方が2次避難しなくちゃいけない。そこがある意味いままでの災害でちょっとなかったところで」
DMATは29年前の1月17日に発生した阪神淡路大震災をきっかけにつくられた仕組みです。被災地の病院機能を維持し平常時と変わらない救急医療を提供するために。県は石川県の要請を受けて来月5日までDMATの派遣を続けることを決めています。