児童虐待“過去最多” 子育ての孤立化防ぐため…妊婦を継続サポート “無料産院”も
こども家庭庁によると、昨年度の児童虐待の件数が21万件を超え、過去最多となりました。こうした中、妊娠初期から出産の約1年後まで同じ担当者が継続してサポートする制度や、“無料産院”など、子育ての孤立化を防ぐ新たな取り組みが始まっています。
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新たな命を授かると、幸せとともに親の心には孤独や不安が押し寄せます。
1歳の娘の父親(20代)
「泣いてたら、なんで泣いてるか分からないし、全部不安」
親戚や近所とのつながりが減る今、孤独や不安を感じる親が増えています。東京都は、調布市・渋谷区・大田区・墨田区の4つの地域で、2年前から子育て支援サービスを試験的にスタートしました。対象は25歳以下の初めて出産する全ての妊婦です。
東京都 家庭支援課 安藤真和課長
「(初産妊婦が)経験も知識もないことは、今の社会状況からすれば当然のこと。社会の問題ととらえてフォローしていく」
妊娠初期から出産の約1年後まで同じ担当者が継続してサポートする「アーリーパートナーシップ制度」。母子手帳を受け取りに来た妊婦との面談をきっかけに、経済的な不安を払拭するため、自治体の担当者が妊婦と一緒に子育てにかかるお金について考えたり、保育園の下見に同行したりなど、妊婦の生活をまるごと支えます。
支援を受けた母親は、受けなかった母親よりも「出産後も心にゆとりができた」とのデータがあります。(都のアンケートによる)都は来年度から正式にアーリーパートナーシップ制度を導入予定で、虐待防止にもつながるとしています。
しかし、こども家庭庁によると、2022年度の児童虐待は21万9170件で過去最多を更新。2021年の死亡事例では、亡くなった50人のうち24人が0歳児でした。背景には望まない妊娠があるといいます。
東京・江戸川区の「まつしま病院」では、望まない妊娠をし、経済的にも余裕がない女性が、無料で妊婦検診から出産までできる“無料産院”があります。
まつしま病院 星野裕子院長
「やっぱり、育児困難のお母さんたちっていうのはどうしてもいて、その方が無料産院の対象にならなかったとしても、『助けて』って言ってきた人に対しては、どこか(支援)につなげることができると思う」
“1人で悩まず声を上げてほしい”と呼びかけています。