「100年後には私の作品」 約6700万円の絵画に偽物疑惑…“天才贋作師”「私には簡単」
徳島県の美術館が25年前に約6700万円で購入した絵画ですが、偽物疑惑が浮上しています。この絵を描いたという男性が取材に応じ、「100年後には私の作品として知られているだろう」などと驚きの発言を繰り返しました。
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日本語で「こんにちは」と気さくに挨拶したのは、ドイツ人画家のヴォルフガング・ベルトラッキ氏。実は彼、“天才贋作(がんさく)師”と呼ばれる人物です。
“天才贋作師”ベルトラッキ氏
「私には簡単なことです。作品を5分から10分見れば、どのように描かれたのか分かります」
今、ベルトラッキ氏による贋作、つまり偽物の疑いが浮上している2つの絵画があります。1つがフランスの画家ジャン・メッツァンジェが描いたとされる「自転車乗り」。徳島県立近代美術館が1999年に6720万円で購入しました。
もう1つがドイツの画家ハインリヒ・カンペンドンクが描いたとされる「少女と白鳥」。高知県立美術館が1996年に1800万円で購入しました。
2つの作品に浮上した贋作疑惑。そのきっかけは…
徳島県立近代美術館 竹内利夫課長
「インターネット上にこの作品が贋作だと紹介している記事があることを教えていただきまして」
アメリカのテレビ局が贋作とされる絵画を取り上げている記事で、先ほどの「自転車乗り」がトップで紹介されていたのです。
ベルトラッキ氏は私たちの取材に…
──これはあなたが描いたもので間違いないですか?
“天才贋作師”ベルトラッキ氏
「ええ、そうです。10万ドル以上で売れたと思います」
──(美術館は)この絵を日本円で6700万円で買いましたが?
“天才贋作師”ベルトラッキ氏
「えー! すごく高い値段がつきましたね。100年後か200年後、この作品は私の作品として知られているでしょう。(原作者とされる)メッツァンジェではなくね」
これまでに300点以上の贋作を作り、約86億円をだまし取ったとされていて、2011年に詐欺罪で有罪判決も受けているベルトラッキ氏。
“天才贋作師”ベルトラッキ氏
「私はどんな絵でも描くことができます」
さらに、東京の美術館にも自身の贋作があると主張。
“天才贋作師”ベルトラッキ氏
「マリー・ローランサン美術館(現在は閉館)にあるアルフレッド・フレヒトハイムの肖像画は、私が1988年に描きました」
1989年に約3800万円で購入したという美術館の館長は、news zeroの取材に贋作疑惑を否定しました。
マリー・ローランサン美術館 吉澤公寿館長
「ベルトラッキ氏は『間違いなく私が描いた』と主張しているが、証明するものは何もなく、信用できない。また、1988年のいつ完成したのかを明かしていない。主張が曖昧で無理がある」
インタビューの最後、日本での騒動について謝罪したベルトラッキ氏。
“天才贋作師”ベルトラッキ氏
「ただ知ってほしいのは、当時は若かったんです。多額の罰金も支払ったし、もう終わったことです」
(7月23日放送『news zero』より)