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【コラム】日テレ・市來玲奈アナ「寄り添い続けたい」と感じた【能登半島地震の支援活動を通して】

2024年4月27日 18:00
【コラム】日テレ・市來玲奈アナ「寄り添い続けたい」と感じた【能登半島地震の支援活動を通して】
石川県輪島市を訪れた市來玲奈アナウンサー

2024年1月1日に起きた「能登半島地震」で、大きな被害の出た石川県の輪島市を、被災地支援活動「よみひと知らず」のため訪問した日本テレビ・市來玲奈アナウンサー。懸命に1日1日を過ごす被災者の姿から「これからも寄り添い続けたい」と感じたといいます。被災地での活動で市來アナは何を見て、何を考えたのでしょうか。
◇◇◇

■いまだ残る地震の爪痕を直視・・・「安心して過ごせていないだろう」

震災から約3か月。“能登の子どもたちに元気な時間を届けてほしい”という依頼を受け、日本テレビの被災地を支援する活動『よみひと知らず』が4月5日、約3年ぶりに再開しました。
気象予報士・木原実さん、そらジロー、テレビ金沢・佐野幸穂アナウンサーとともに私、日本テレビアナウンサー・市來玲奈は石川県・輪島市へ足を運びました。

最初に訪ねたのは、輪島市河井町にある「かわい保育園」。震災後は、園児の受け入れ時間を短くするなどして対応していましたが、4月1日からは時間を通常通りに戻すなど、徐々に日常を取り戻そうとしていました。
ただ、入口の歩道が隆起し、所々に地割れも見られ、地震の爪痕がまだまだ残る現状を直視すると、「いまだに安心して過ごせていないだろう」と胸がぎゅっと締めつけられる思いになりました。また同時に、その中での支援活動に少しためらいの気持ちも生まれてきました。
そんな心配を抱えていましたが、いざ玄関に入ると、目に飛び込んできたのは“ようこそ かわい保育園へ 日テレ そらジロー様”と温かいメッセージが書かれたポスター。明るい雰囲気で出迎えてくれて、心配が安堵に変わりました。

■ジェスチャーゲームに発声練習、子どもたちと大盛り上がり!

子どもたちの「木原さ~ん、そらジロー、市來アナ~」という可愛らしい声に導かれ、楽曲に合わせてみんなの前に登場すると、私たち以上に大きな声で元気に「こんにちはー!」と手を振ってくれました。そこにあるたくさんの笑顔を見ると、「来て良かった。きょうの一緒に過ごす時間で、もっとたくさんの笑顔を作りたい!!!」という気持ちになりました。

私たちは「楽しかったと思ってもらえる時間にしたい、心の安らぎになってほしい」という思いで、たくさんの“催し”を用意しました。そらジローのジェスチャーゲームでは、子どもたちは全問正解!次におこなった、絵本に合わせた声出しでは、元気に大きな口を開けてはっきりと「あー!」と発音できました!最後にテレビ金沢「となりのテレ金ちゃん」の歌を一緒に歌い、そらジローからはシールと投げキスのプレゼント!とにかく、そらジローは子どもたちに大人気。被災後にたくさん我慢してきて窮屈になっている子どもたちの心が、少しでも温かくなってもらえたのかなと感じました。

■避難所で「ぜひまた来て下さい」目頭が熱く・・・

続いて訪ねたのは、同じく輪島市河井町にある避難所「ふれあい健康センター」。
依然として簡易トイレ、段ボールベッドを使ったテントなど制約のある生活を余儀なくされていました。

大変な状況のなか、避難者やスタッフ、小さい子供から高齢者の方々まで30人ほどの人が集まってくれました。豆知識やご当地のクイズに、積極的に手を挙げて元気よく答える子どもたち。正解してご褒美のシールを受けとると、大喜び!また笑いながら体を動かす体操では、子どもたちだけではなく、お父さん、お母さん、おじいさん、おばあさんも一緒にみんなで大きな声を出して、笑いながらストレッチしました。体を起こして目線も上向きになることで、皆さんの表情がパッと明るくなり、その場がより和やかになりました。一人ひとりの笑顔がこの上なく嬉しかったです。

参加してもらった皆さんからは「来てくださり、本当にありがとうございます。ぜひまた来てください」と喜びの言葉をかけてもらい、目頭が熱くなりました。

■いまだ散乱するガラス、きしむトタン「心が苦しく・・・」

そして、“日本三大朝市”の一つ「輪島朝市」が開かれていた場所にも足を運びました。火災で焼け落ちた建物が骨組みだけになっていて、まだ薄らと焼け焦げた臭いがしました。瓦礫やガラスも散乱していて足元は危なく、風が吹くとトタンのきしむ音が響いていました。焼けてしまった数多くの器やお箸を見ると、ここがお店だったのだな、と改めて“朝市”ということが思い出されました。
周辺の道も液状化や揺れの影響なのか、石畳が崩れ、マンホールは隆起していました。また1階部分が潰れた住宅なども数多く目にして、平衡感覚がなくなってしまうような経験をしました。何より目の前に広がる、3か月経った今も色濃く残る“爪痕”に心が苦しくなりました。

■かすかに聞こえてきた「おとのみち」

輪島市への道中でも、土砂崩れ、陥没により崩れた道路や崖、ブルーシートで屋根を覆った家々など、目を疑うような光景が広がっていました。今回輪島市に向かう時に通った、金沢市と能登半島を結ぶ「のと里山海道」も大きな被害を受けていましたが、3月15日には輪島市方面へ向かう全線で通行できるようになっていて、復旧・復興に向けた取り組みがしっかりと進んでいました。
この「のと里山海道」には、車が一定の速度で走るとメロディーが聞こえる「おとのみち」があります。道路に間隔の異なる溝が刻まれていて、車がその上を走ると音が出る仕組みです。この「おとのみち」には、NHK連続テレビ小説「まれ」の主題歌である「希空~まれぞら~」のメロディーが使われています。
今回私が通った時も、そのメロディーが、途切れ途切れでかすかですが、確かに耳に聞こえてきました。復興の一歩として、通行の再開を奏でるメロディーが、“希望”となり被災地の人々や能登を訪れる多くの人に届くよう、心から願っています。私からのメッセージも込めて、「希空~まれぞら~」の一節を引用したいと思います。

「どうか希望の地図をそっと開いてみてね あたたかい未来たちが僕らを待っているよ さぁ旅に出よう、おそれずにちいさな一歩だとしても」
(引用:「希空~まれぞら~」/作詞:土屋太鳳 作曲:澤野弘之)

今回支援活動を通して出会った、懸命に1日1日を過ごしている皆さんの姿を見て、これからも皆さんに寄り添い続けたいと思いました。この気持ちを決して忘れずに、これからも色々な形で伝え続けていきます。

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『よみひと知らず』とは2011年から始まった、日本テレビとNNN各局のアナウンサーやキャスターが被災地の学校や仮設住宅の集会所などで、日本語をテーマにしたワークショップを行う活動です。発声練習や早口言葉、読み聞かせ、紙芝居、方言遊びなど会場や参加者のニーズに合わせて企画・運営しています。

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