ジャニーズ問題、国連の会見に当事者は?……「やったぞ」「大きな一歩」喜びも、心のケア「何もない」 問われる“黙殺”社会
ジャニーズ事務所の性加害問題を巡り、国連人権理事会の専門家が4日、記者会見を開きました。「当事者の会」の7人は大きな手応えを感じた一方で、メンタルケアの不十分さなどを訴えました。性暴力や虐待をなくす上で、日本の社会が今問われています。
■肩をたたき、涙を浮かべる当事者たち
4日行われた、国連人権理事会の専門家による記者会見。その様子を、別室で「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の7人が見守っていました。
午後4時すぎ。副代表の石丸志門さんが、代表の平本淳也さんの肩を何度もたたきました。「やったぞ、やったぞ」。両手で顔を押さえる平本さんの肩に、手を添える石丸さん。「ここからだ」と噛みしめるように声をかけました。平本さんの目から、涙があふれます。
タオルで涙をぬぐい、口元を覆いながら、平本さんは語りました。
「励まし合いながら、重圧もある中で、毎日ギリギリで生きていく中で、今僕たちに最も必要なメッセージがこの会見、今日、今聞けたことによって…。満足してはいません。これからなんで。ただ大きな一歩、とてつもない大きな一歩」
■国連の会見で「大きな動きが見えた」
この直後、日本記者クラブで会見を開いた7人は改めて、国連人権理事会の専門家の発言について印象を語りました。
平本淳也さん
「真摯(しんし)に受け止めてくれたこと、僕たちに勇気をくれたという印象で今、受け取って。メンバー(は)、それをうれしさ、勇気という形で共有していることと思います」
二本樹顕理さん
「活動を始めた時は本当に、一個人の声が一体届くのだろうか、この活動がどこに向かっていくのか、非常に不安な部分もあったんですけれども、本当に今日の国連の会見をもってして、大きな動きが見えた」
「一個人の声でも、集まって集約すれば大きなものになっていくと目の当たりにした次第です」
■事務所「メンタルケア」の実態は?
約2時間の会見の中では、「国連の会見で『ジャニーズ事務所による被害者へのメンタルケアが不十分』とありました。具体的に何が不十分なのか」と質問が上がりました。
これに対して代表の平本さんは「(メンタルケアについては)全く何もないので、どこをどう評価していいのか、どこをどう答えればいいのかさえ分かりません」と困惑しつつ、自身の経験を明かしました。
「心のケア(のメールを相談窓口に)送ったんですよ。(すると)返ってきた返事が『ご希望でしたらカウンセラーをご紹介します。質問とメッセージについては1週間以内にお返事いたします』ということでしたが、2か月たってもまだ返事は来ません」
「ケアされるどころか、ものすごいけなされているみたいな」メンタルケアは全くされていない、と訴えました。