確定死刑囚から初の“再審無罪”も…「人殺し」「うまくやったな」待っていた偏見、闘い続けた免田栄さん三回忌 支えた妻の思い
74年前に熊本県人吉市で起きた強盗殺人事件で、犯人として逮捕され、1983年に確定死刑囚として初めて再審無罪を勝ち取った免田栄さん。亡くなって2年がたった今月はじめ、三回忌の法要が営まれました。
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免田栄さんの遺骨が眠る福岡県大牟田市の行信寺で今月4日、妻の玉枝さんや支援者が集まり、三回忌の法要が執り行われました。
妻・免田玉枝さん
「(免田さんが)2回夢に出てきて、『おなかすいたけん飯食わせろ』と来る。私『ここはご飯全然ないよ』と言ったら『そうか』と言ってさーっと消えていく。もうちょっといればいいのにと思ったけどね」
1948年、熊本・人吉市で起きた強盗殺人事件で犯人として逮捕された免田さんは、警察の取り調べで自白を強要され、裁判で無罪を訴えたものの、死刑が確定。獄中から裁判のやり直し=再審を求め続け、逮捕から34年後の1983年に無罪を勝ち取り社会復帰しました。
免田さんはその後、知り合った玉枝さんと結婚し、大牟田市で暮らし始めます。しかし、待っていたのは「人殺し」「うまくやったな」という心ない言葉でした。
「元死刑囚」という偏見と闘い続けた後半生。2020年12月5日、95年の人生を終えました。
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波乱の生涯に改めて思いをはせる三回忌。玉枝さんはいま、ひとり福祉施設で暮らしています。
妻・免田玉枝さん
「いい出会いがあったなと思っております。短かったけれど、大牟田で皆さんと出会って、大牟田が大好きだったんですね。大牟田の皆さんに仲良くしてもらったこと本当に喜んでいました。本当にありがとうございました」
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長年、免田夫妻を支えてきた元大牟田市職員の川上洋さんは、生前、免田さんから「真実は神の如し」という言葉を贈られました。来年7月で再審無罪から40年。川上さんは、免田さんの慰霊碑を建てる計画を進めています。
川上洋さん
「免田さんの思いをそのまま石碑に遺(のこ)して、石碑に刻み込んでおきたいと思います」
「二度と冤罪を繰り返さない」。慰霊碑に刻まれる免田さんの言葉に、その願いが託されます。