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【気象解説】「台風10号」29日以降縦断か 猛烈な風と大雨に厳重警戒を

2024年8月27日 17:56
【気象解説】「台風10号」29日以降縦断か 猛烈な風と大雨に厳重警戒を

非常に強い勢力で奄美地方にかなり接近している台風10号。最新の見通しを木原実気象予報士に聞きました。

■非常に強い勢力で九州南部接近か

27日午前9時に「非常に強い」勢力となった台風10号。気象衛星からの雲の様子をみても「台風の目」がはっきりと見えてきています。

台風は午後5時時点で、奄美市の東約90キロの海上にあって、ゆっくりと北西に進んでいます。奄美地方の一部が風速25メートル以上の暴風域に入っているほか、種子島や屋久島などが風速15メートル以上の強風域に入っています。台風は、このあとも発達しながら北上し、29日にかけて、非常に強い勢力で九州南部に接近。その後、ゆっくりとした速さで列島を縦断するおそれがあります。

■台風10号なぜ動きがゆっくり?

現在、台風は太平洋高気圧の中心から離れた所にあり、普段であれば台風を北上させる縁辺流と呼ばれる高気圧の縁をまわる風があまり吹いていない所にあります。また、北上しても、秋であれば上空の偏西風に乗ってスピードを上げるのですが、現在は、偏西風は列島の北を流れていてこの風にも乗れそうにありません。つまり、台風そのものを動かす(移動させる)風がない所にあるため、この後もノロノロと進み、台風の影響が長引きそうです。

■九州南部・奄美では線状降水帯や猛烈な風が吹くおそれ

台風が接近している奄美地方では、このあとも台風本体の発達した雨雲が長い時間にわたってかかり続け、29日にかけて大雨となるおそれがあります。また、台風の北上に伴って28日は種子島や屋久島などでも非常に激しい雷雨となりそうです。特に、奄美や九州南部では、27日夜から28日夜にかけて、線状降水帯が発生して大雨災害の危険度が急激に高まるおそれがあり、厳重な警戒が必要です。

また、風もすさまじく、28日に予想される最大瞬間風速は奄美で70メートル、九州南部でも65メートルと一部の家屋が倒壊するような猛烈な風が吹くおそれがあります。

■台風から離れた地域でも大雨警戒

日本付近では台風周辺の雨雲だけでなく、南から吹き込む湿った空気や秋雨前線なども影響し、雨の強まっている所があります。28日にかけても、北日本や西~東日本の太平洋側などで雨の強まる所があり、特に九州や四国、紀伊半島などでは長時間にわたって発達した雨雲がかかり、記録的な大雨となるおそれもあります。

30日までの72時間で予想される積算降水量をみると、九州や四国、紀伊半島などでは600ミリを超える大雨が予想されています。これまでに経験したことのないような記録的な大雨になるおそれもありますので、刻々と変わる台風の最新情報をこまめに確認し、早めの備えを心掛けてください。