知事のアドバイザーは高校生 こども基本法施行受け…新制度「リバースメンター」
4月に施行されたこども基本法を受けて、高校生が知事のアドバイザーになる新たな制度が始まっています。
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今月、群馬県高崎市で桜の木を見て回っていたのは、高校生の吉田哲理さんです。
高校2年生・吉田さん
「ちょっとこれは(虫の害を)疑った方がいい木ですね。木くずと幼虫のふんが混ざったものがでているんですけど、それがあると『クビアカツヤカミキリ』の被害にあっている」
問題になっているのは、クビアカツヤカミキリという外来種の虫。桜や梅の木に1回で1000個もの卵を産み、木が枯れる、倒れるといった被害も出ています。
群馬県の太田市立太田高等学校では、生物担当の倉林正先生がこの問題を授業で扱い、桜の被害マップを作りました。これに興味をもった吉田さんが調査を進めると、太田市の桜の名所では7割が被害にあっていると判明しました。
吉田さん
「お花見の文化がなくなることも考えられます」
さらに、この虫は梅の木にもつくため、梅の生産量が全国2位の群馬県にとって大問題。吉田さんは知事に提言するメンターに応募し、選ばれました。
この3か月、専門家や複数の自治体に取材をし、被害状況と対策をまとめました。
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23日、群馬県庁には10人の高校生の姿がありました。県は、高校生が知事に助言する「リバースメンター」制度を全国で初めて導入。練り上げてきた提言が発表されました。
倉林虎輝さんはeスポーツに関する提言を行いました。
中高一貫校4年 倉林虎輝さん
「世代間をこえたeスポ-ツの大会ということで、コミュニティーがうまれたら群馬県として盛り上がっていく」
群馬県 山本一太知事
「できれば、3月までにこういう形のことができれば少し意見もらえますかね?」
LGBTQ問題で提言したのは、高校2年生の朝井葵さんです。
高校2年生 朝井葵さん
「体は女子で男子の制服を着ている生徒は、どちらの校則が適用されるのか。自分が少数派である世界を想像したことがありますか。群馬県で提言したいことは、制服と頭髪に関する男女の区別の撤廃」
子宮けいがんを防ぐワクチンや検診を広めるため、TikTokで発信することや、子どもの意見を反映させるため、校則を改正するルール作りなども提案されました。
最後は吉田さんです。
吉田哲理さん
「このような桜が見られなくなる、梅が食べられなくなる。なぜか…。原因はこいつ、クビアカツヤカミキリ」
吉田さんは被害を防ぐため、小・中・高校生が桜の木の異変を見つける活動や、成虫を集める箱の設置のほか、早めの伐採で対策費を抑えられることも提言しました。
提言のうち、知事が必要と判断したものは、高校生と県が実行にむけて話し合います。全体で500万円の予算も用意されています。
高校生が「社会を変える」体験をし、若者の発想でよりよい政策を模索する動きは来年3月まで続きます。