金正恩氏と技術者の「宴会」写真を公開 “6年ぶり”の宴会場で… “偵察衛星”打ち上げ
北朝鮮が21日に打ち上げた「偵察衛星」をめぐり、新たな写真が公開されました。その中には、金正恩総書記らが技術者と宴会を行う様子も。実は、その宴会場に北朝鮮の「大きな喜び」が表れているといいます。
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24日朝、北朝鮮国営放送(朝鮮中央テレビ)で伝えられたのは、笑顔で写真に収まる金正恩総書記です。その隣にはジュエ氏とみられる娘の姿、そして、李雪主夫人の姿もありました。
この写真は、23日夕方に行われたという宴会の一場面です。金総書記以外の参加者が身につけているのは、おそろいのTシャツです。胸元には国家航空宇宙技術総局「NATA」のロゴマークが書かれていました。
21日の夜、宇宙に向けて打ち上げられた偵察衛星。北朝鮮は“打ち上げに成功した”と発表しました。23日はその偵察衛星の打ち上げだとする映像を公開し、24日は宴会の写真を公開したのです。この写真は宇宙当局の技術者らと、打ち上げ成功を祝った宴会の様子だということです。
さらに、宇宙当局を視察した様子も公開しました。こちらにも隣にはジュエ氏とみられる娘の姿がありました。この視察では、金総書記が技術者らとともに記念撮影をしたことが報じられています。
その写真には、中央に陣取る金総書記と周りを固める制服組が写っています。番組で数えたところ、この1枚に“総勢700人”が収まっていました。
北朝鮮が次々と公開した偵察衛星をめぐる写真。専門家が注目したのは宴会が行われた場所です。
北朝鮮政治が専門の慶応義塾大学・礒崎敦仁教授
「木蘭館という最も水準の高い宴会場。兵器開発、兵器実験の文脈で(木蘭館が)使われたのは6年ぶり。それだけ国家的な事業であり、金正恩総書記肝いりの事業だった」
礒崎教授によると、宴会が行われたのは北朝鮮で最も格式が高い宴会場です。この場所が軍事関連などで使われたのは、2017年のICBM(=大陸間弾道ミサイル)の開発を祝った宴会以来だということです。
礒崎敦仁教授
「大陸間弾道ミサイルを開発したと宣言したときは、北朝鮮は喜びにあふれてこの宴会場を使ったんですけれども、それに匹敵するくらい大きな喜びが彼らにある。アメリカや韓国の動向を探るための“目”を持った、その第1歩であるという位置づけ」
金総書記は、偵察衛星の保有が北朝鮮の安全環境と利益を守るとし、さらに「敵対勢力の危険極まりない侵略的行動を主導的に抑止し、正当防衛権の堂々たる行使になる」と、その“正当性”を主張しています。
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一方、日本政府は――
木原防衛相(24日午前)
「分析を進めた結果、北朝鮮が発射した何らかの物体が地球を周回していることを確認」
ただ、北朝鮮が意図した通りの軌道・機能を果たしているかは引き続き慎重な分析が必要だとしています。
北朝鮮は今後、追加で数基の偵察衛星を打ち上げる計画を明らかにしていて、日本政府は情報収集、警戒監視に全力を挙げる考えです。