2023年ノーベル化学賞の有力候補!期待の新エネルギー“次世代の太陽電池”を解説
各分野で活躍し、社会に貢献した人々に贈られるノーベル賞。2023年の化学賞で受賞候補とされているのが、次世代のエネルギーと言われる「ペロブスカイト太陽電池」というものです。一体どんな電池なのか?日本テレビ社会部の島津里彩記者が解説します。
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「ペロブスカイト太陽電池」を開発したのは、ノーベル化学賞の有力な候補者の1人である桐蔭横浜大学の宮坂力教授です。
「ペロブスカイト」とは鉱物の名前で、もともと電力を光に変換する発光材料として研究されていました。宮坂力教授のチームは、その特徴に目をつけ、光を電力に変換する太陽電池に応用できることを発見しました。「ペロブスカイト太陽電池」の特徴をうかがいました。
桐蔭横浜大学 大学院工学研究科宮坂力教授「光はもう場所を選ばず屋外から部屋の中まで発電できる屋内のLED灯とか反応しますしほとんど目に見える光は反応します」
実際スタジオに、ペロブスカイト太陽電池とつないだプロペラを用意して実験してみました。米澤かおりキャスターが、懐中電灯の光をあててみると…見事に回転しました。
一般的なシリコンの太陽電池は、発電するために太陽光の強い光を必要としていましたが、ペロブスカイト太陽電池は、LEDなどの弱い光でも発電できるといいます。薄くて軽量なので建物の壁や窓、車体といった、今までつけられなかった場所への設置も検討されています。また、材料費も安く、設置や回収も簡単にできるため、コストの面でも安く抑えられるといいます。
政府は、2030年までに普及を目指していて、いま実用化に向けて、様々な自治体や企業が乗り出しています。例えば東京都は、メーカーとの共同研究で、ペロブスカイト太陽電池を都内の水処理施設に設置して、発電効率や耐久性の検証をしています。また、パナソニックホールディングスでも、ガラス一体型のペロブスカイト太陽電池”発電するガラス”を開発し、現在、モデルハウスでの実証実験を行っています。
どこでも、発電できる可能性が高いことから、災害時の有効活用にも期待されているようです。
近い将来、私たちにとって身近な存在になるかもしれない、ペロブスカイト太陽電池。電力不足解消の鍵となるのでしょうか。