実験任せきりで“ねつ造”気づけず…現役宇宙飛行士が謝罪 異例の戒告処分
自らが実施責任者を務めた実験でねつ造や改ざんが明らかになった問題で12日、古川宇宙飛行士が会見で謝罪しました。改ざんに気づかなかった原因については、「専門性の高い部分では専門家に任せていた」「確認が十分ではなかった」と話しました。
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12日午後2時、古川聡宇宙飛行士(58)が会見場に姿を見せました。
宇宙飛行士 古川聡さん(58)
「不適切な研究行為・マネジメントにより、国民のみなさまの信頼を損ねてしまったことについて責任を痛感しております。心より深くおわび申し上げます」
自らが実施責任者を務めた研究で起きた“不祥事”について謝罪しました。戒告の懲戒処分を受けたことも明らかにしました。
古川聡宇宙飛行士は、2011年6月に初めて宇宙へと飛び立ちました。約5か月半もの長期間、宇宙に滞在。東京大学医学部出身で医師の肩書もある古川飛行士は、宇宙環境における人体への影響などの実験を行いました。
そして今年、国際宇宙ステーションでの2度目の長期滞在が予定される中、“ずさんな研究”が明らかになったのです。
宇宙飛行士 古川聡さん(58)
「改ざんやねつ造ともいうべき事象を研究実施責任者として防げなかった」
問題が起きたのは、古川飛行士のチームが2016年から行っていた“ストレスの蓄積”に関する研究です。
“宇宙環境に見立てた狭い空間に、大人8人を長期間住まわせる”というものでしたが、その8人の血液検体の取り違えが発生していました。さらに8人の面談については、研究者2人でしていたにもかかわらず、3人で行っていたかのように研究データを“ねつ造”し、診断結果については、複数箇所で“改ざん”の形跡が確認されていました。
研究の実施責任者だった古川飛行士は、気づけなかった理由をこう説明しました。
宇宙飛行士 古川聡さん(58)
「専門性の高い精神心理の部分では専門家にお任せして、信頼の気持ちが勝っていた。本件では、ベリファイ(=確認の部分)が十分でなかったと反省しています」
専門性の高い分野については、専門家に任せきりにしていたといいます。データを直接扱う立場ではなく、“不適切行為”が行われていたことに気づけなかったということです。
宇宙飛行士 古川聡さん(58)
「研究全体の責任者でありながら、それを把握できず防げなかったことは私の責任であり、重く受け止めております」
現役の宇宙飛行士が戒告処分を受ける異例の事態。今年予定されている2度目の宇宙滞在については現時点で変更はなく、宇宙に行く考えを示しています。
宇宙飛行士 古川聡さん(58)
「与えられた任務を誠実・着実に行うことが私の責務だと考えておりまして、それによって信頼回復に努めてまいりたいと思っております。仲間を信頼するんですけど、念のために確認することの重要性を再認識しました。これまで以上に業務に生かして、誠実に仕事をしていきたい」