「侵略の津波を…」ゼレンスキー大統領がオンラインで国会演説 日本の“苦難の歴史”想像させ…
23日夜、ウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで国会演説を行いました。演説では随所に、これまで日本が直面した苦難の歴史を想像させるような内容もありました。
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23日午後6時過ぎ、国会で、拍手で迎えられたのは、ウクライナのゼレンスキー大統領です。外国の元首がオンラインで国会演説をするのは初めてです。
ウクライナ・ゼレンスキー大統領
「日本がすぐ援助の手を差しのべてくださいました。心から感謝しております」
日本への感謝から始まった演説。今月に入って外国の議会で8回演説してきたゼレンスキー大統領。日本の国会が9回目となります。
ゼレンスキー大統領
「数千人が殺され、そのうち121人が子どもです。900万人以上のウクライナ人が住み慣れた家を出て、身を隠すために避難しています」
演説では随所に、これまで日本が直面した苦難の歴史を想像させるような内容もありました。
ゼレンスキー大統領
「チェルノブイリ原発が占領されました。事故があった原発を想像してみてください。破壊された原子炉の上にある核物質の処理場を、ロシアが戦場に変えました」
「シリアと同じように、サリンなどの化学兵器を使った攻撃を、ロシアがいま準備しているという報告を受けています。また核兵器が使用された場合、世界の反応はどうなるかが、いま世界中の話題になっています」
「また、人口が減った地域の復興を考えないといけないです。それぞれの人たちが、避難した人たちが、ふるさとに戻れるようにしなければならないです。住み慣れたふるさとに戻りたい気持ちが、日本の皆さんもきっとお分かりだと思います」
そして、日本に求めたのが──
ゼレンスキー大統領
「アジアで初めてロシアに対する圧力をかけ始めたのが日本です。引き続き制裁の継続をお願いします」
「また、このウクライナに対する侵略の津波をとめるために、ロシアとの貿易禁止を導入し、また、各企業がロシア市場から 撤退しなければならないです」
まっすぐ視線を下げることなく訴えかけた約12分間。
ゼレンスキー大統領
「ウクライナ人は日本の文化が大好きです。それはただの言葉ではなくて、本当にそうです」
最後は日本語もまじえてこう締めくくりました。
ゼレンスキー大統領
「ありがとうございます。ウクライナに栄光あれ、日本に栄光あれ」
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演説を見た人は――。
会社員(59)
「本当によかったです。強く感じるものがありました」
会社員(34)
「聞いているうちにどんどん、ゼレンスキー大統領の声が届いた。できる限りの支援を個人的にはしていきたい」
自国の大統領の演説を日本で見つめたのは、横浜に住むウクライナ人・アマウリ・マリーナさん(40)。
アマウリ・マリーナさん(40)
「素晴らしいですね。彼(ゼレンスキー大統領)が言ってることがわかる。私たちの大統領を誇りに思います。(国会での)オンラインの話をみて、みんながスタンディング拍手してることが、ウクライナ人で誇りに思う」
20年ほど前に来日し、ダンサーとして活動しているマリーナさん。原発がロシア軍に占拠されたザポリージャにいた両親は――
アマウリ・マリーナさん(40)
「(両親は)きのう、電車にやっと乗ることができました」
ポーランドを経由して日本に避難するため、列車で移動を開始しました。ところが、母イリナさんから届いたメッセージには――
「サイレンが鳴って(列車が)止まった。夜も眠れなかった。頭ガンガンする」
攻撃が続く中での避難…。
アマウリ・マリーナさん(40)
「やっぱりポーランドに着くまでは落ち着かない」
娘・ジャスミンちゃん(3)
「(祖父母と)遊びたいです」
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演説を聞いた岸田首相は、「ウクライナの国民を強い決意と勇気で守り抜いていこうとする姿、感銘を受けました」と語り、ロシアに対するさらなる制裁と、ウクライナへの追加支援を検討する考えを示しました。
(3月23日放送『news zero』より)