小林製薬“紅麹問題” そもそも機能性表示食品とは…国のお墨付きはない?【#みんなのギモン】
小林製薬の“紅麹問題”で「機能性表示食品」が注目されています。そもそも何なのか、今、あらためて考えている人も多いのではないでしょうか。そこで、次の2つのポイントを中心に詳しく解説します。
●もやしやバナナも…拡大する市場
●トクホとの違い・利用する時は
問題の小林製薬社長が29日、午後記者会見しました。
小林章浩社長
「非常に多くの皆様にご心痛 ご不安をおかけしており、社会問題にまで発展していること深くおわび申し上げます。まずはお亡くなりになったお客様のご冥福をお祈りし、ご遺族の皆様に心からお悔やみ申し上げます」
小林製薬 渡邊淳執行役員
「今後につきましては政府 厚生労働省が主導的に関わり、研究機関にも全面的に力を借りて、今後の原因究明を行っていく」
小林製薬が製造した機能性表示食品、「紅麹コレステヘルプ」の健康被害が深刻になっています。
28日までにサプリメントを摂取した人のうち、5人も亡くなり、114人が入院しています。小林製薬には、少なくとも1万2000件の相談が寄せられているのです。
機能性表示食品で健康被害が明らかになったのは今回が初めてですが、原因がまだ明らかになっていません。
「機能性表示食品」と書いてあるとお墨付きがあるものと思い、安心して購入する人も多いのではないでしょうか。例えば、次のようなものがあります。
●「おなかの調子を整えます」とうたったヨーグルト
●「脂肪の吸収をおだやかにします」と書かれた飲み物
●「骨の健康が気になる方ため」のもやし
●「血圧が気になる方のため」のトマトやバナナ
以前は、ヨーグルトなど加工品が多かったですが、今は生鮮食品にも広がっています。
気づけば我々の周りは機能性表示食品だらけと言えます。約7000もあり、富士経済によると、去年の市場規模は前の年より19%増えて6865億円です。即席麺市場やチョコレート市場と張り合うぐらいです。
そのぐらい身近になっていますし、今後も増えていくと見込まれているのです。
同じように「体にいいんじゃないかな」ということで、トクホ=特定保健用食品が頭に浮かぶかもしれませんが、こちらは横ばいです。4年前には機能性表示食品が追い抜いています。
トクホは1991年から始まりました。国が安全性や機能性を審査して許可を出します。つまり、メーカーが出してきたものを専門家が検証するのです。科学的根拠を調べる分、開発コストが高くなります。
一方の機能性表示食品は、2015年になって導入されました。こちらは、国が安全性や機能性のお墨付きは与えません。事業者の責任で健康維持・増進の効果を示し、安全管理もメーカーが責任を負うことになります。
例えば、メーカーA社が、「睡眠の質を高める機能がある」とうたった機能性表示食品のサプリを製造したとします。売りに出すにあたりA社はどうするか。
まず、メーカー自身で安全性や機能性評価を行います。“この成分はこの論文によると、こんな機能がある”といったことを確かめます。さらに生産体制、品質管理の体制を決めるわけです。
こうしたことを書類にして、商品の販売60日前までに消費者庁長官に届け出ます。
消費者庁は届け出の内容について、つじつまはあっているか、しっかり論文などにあたって機能性や安全性を調べているかをチェックします。そして、問題なければ受理します。そのため、安全性や機能性を消費者庁が検証してお墨付きを与えるものではないのです。
国は確認をするレベルですので、責任はメーカーが負っているわけです。
過去には偽りもありました。医薬品メーカーなどが販売したサプリメントなどの機能性表示食品について「飲むだけで簡単にやせる」かのように宣伝していましたが、科学的な根拠はなかったということです。消費者庁が景品表示法に基づく措置命令を出しました。
私たちはどうすれば良いのか、食の問題に詳しい食品問題評論家の垣田達哉氏に話を聞きました。
垣田達哉氏
「機能性表示食品は薬ではなく、あくまで一般の食品の1つ。だから本来、機能性表示食品だからという理由で特に安全性に注意が必要というわけではない」
「ただ、機能性表示食品のサプリについては気にした方がいいこともある。1日2粒など、毎日飲むよう説明が書かれていることもあり、毎日飲むことが効くと思って飲むことが多い」
「そのため一定期間摂取したら一定期間やめてみて、体調がどうなるか様子を見てみるのがいいだろう。やめた方が調子がよくなった場合は、やめる選択肢もある」
■機能性表示食品 今後は…
消費者庁は今回の問題が「機能性表示食品の安全性に対する疑念を抱かせる深刻な事態だ」として、7000ある機能性表示食品の緊急点検を始めました。
1700ほどの事業者に健康被害の有無などを確認する質問状を28日に出して、回答期限は来月12日となっています。
(2024年3月29日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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