JR東海「ドクターイエロー」きょう“引退” 最後の雄姿にファンら集結
JR東海の新幹線「ドクターイエロー」が29日、引退の日を迎えました。“ラストラン”の1日を取材しました。
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29日午後6時ごろの東京駅。
日高水樹記者(日本テレビ)
「ドクターイエローが今、東京駅に到着しました。多くのファンに迎えられドクターイエローが東京駅に到着しました。皆さん、カメラを掲げながら最後の雄姿を撮影しています」
午後6時ごろ、東京駅のホームに到着したのは、黄色い車体がトレードマークのドクターイエローです。老朽化を理由に引退が発表されていたJR東海の車両は、この日がラストラン。約24年の歴史に幕を下ろしました。
ラストランが始まったのは午前10時半すぎ。博多駅を出発し東京駅へ向かいました。
ドクターイエローは線路のゆがみなどを検査する特殊車両で、運行は月に数回程度。ダイヤも非公開なことから”見ると幸せになる”と親しまれてきました。
29日もダイヤは公表されていませんが、線路沿いには鉄道ファンたちが集結。ネットなどで情報を得て駆けつけたといいます。
鉄道ファン(滋賀・米原市、29日)
「もったいないと思いますけど、仕方ないですよね」
お目にかかるのもレアな車両ですが、28日と29日は、さらに特別仕様となっていました。
記者
「ドクターイエローの先頭車両です。『ありがとう』という文字が見えます。ドクターイエローからこの街の皆さんへ、ありがとうの言葉が投げかけられています」
窓に「ありがとうT4」の文字が。車両とファンへの感謝を示しています。
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この日を特別な思いで迎えた人もいました。静岡県富士市で出会ったのは神奈川県から来た安武義登さん(81)。写真を見せたい相手がいるといいます。それは…
神奈川県から来た安武義登さん(81)
「3年前に亡くなったの、がんでね」
3年前に膵臓(すいぞう)がんのため亡くなった妻・ひでさん。闘病中、一緒にドクターイエローを見に行った思い出があるといいます。
安武義登さん(81)
「本当だったら実物を見せたいよ。でもいないから写真だけでも持って来てあげて、一緒にいるんだって。ここで撮ってるんだって」
妻との思い出を胸に迎えた午後5時すぎ。撮れた写真を見せてもらうと、雄大な富士山をバックに走るドクターイエローの姿が。
安武義登さん(81)
「ちょっと暗かった」
──誰に見せたい?
安武義登さん(81)
「うちの妻に手を合わせて、帰ってきたぞって。(妻のことは)いつでも思い出せるから、一緒に暮らしてたときは良かったな。本当にありがとうねって」
JR東海とJR西日本が1編成ずつ持っているドクターイエロー。JR西日本の車両は2027年以降をめどに運行を終了する予定です。