57年前の一家4人殺害「再審」今後は? 検察側3つの主張で“袴田巌さんが犯人”…無実主張の弁護側“人生を奪い、精神世界をも破壊した責任がある”
57年前、静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑判決を受けた袴田巌さんの再審=やり直し裁判が、27日、静岡地裁で始まりました。初公判が開かれていた静岡地裁前から静岡第一テレビの永見佳織記者が中継。
27日午前11時から行われていた再審の初公判は、予定の午後4時45分から少し遅れて閉廷しました。そして、姉のひで子さんや弁護団の姿も少し前に見られました。26席の一般傍聴席を求め、朝から静岡地裁には280人の傍聴希望者が集まりました
──57年前の事件、きょうの初公判で検察側、弁護側は双方どのような主張をした?
検察側は冒頭陳述で、袴田さんが犯人であるとする3つの主張を述べました。それは、「犯人がみそ工場関係者と強く推認され、犯人の行動を袴田さんが取ることが可能だった」ということ、「5点の衣類は被告人が着用していたもので、事件後に被告人がみそタンクに隠したこと」、さらに「袴田さんが犯人と考えられるその他の事情があること」の3つです。
一方、弁護側は、袴田さんの人生を奪い、精神世界をも破壊してしまった責任は、警察、検察、裁判官、そして弁護人にもあるとかなり強い主張をしました。その上で、現場の状況などから強盗殺人ではなく恨みによる殺人で、犯人は複数犯であるとして、巌さんの無実を主張しました。
──袴田巌さんと姉・ひで子さんの様子は?
袴田さんは長年収容されていた影響で十分に会話ができないことから、出廷の免除が認められ、裁判には出廷していません。午後2時ごろから支援者とともに日課となっているドライブに出掛け、いつも通りの生活を送っていました。
法廷には袴田さんの姉・ひで子さんが補佐人として出廷し、「弟の代わりに無実を主張します」と訴えました。
──今後、裁判はどのようなスケジュールで進んでいくのでしょうか?
現在、明らかになっている裁判のスケジュールをお伝えします。
裁判所からはきょう27日を含め、全部で12回の公判日程の提案があり、当初、裁判所は年度内に結審したい意向を示していましたが、弁護団によりますと、「証拠調べに想定以上の時間がかかる見込みで、結審は早くても来年4月以降にずれ込むのではないか」と話しています。