【解説】今年多い“ゲリラ雷雨” なぜ発生? 「冠水」時に取るべき行動は…
28日も西日本や東日本で大気の状態が不安定で、局地的に非常に激しい雨となっています。都市部などでは、ゲリラ雷雨による道路の冠水などにも注意が必要です。
◇今年はゲリラ雷雨が多い
◇なぜ大気の状態が不安定に?
◇突然の冠水…どうする?
以上の3つのポイントについて、詳しく解説します。
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28日午後4時現在、関東北部を中心に雷雲が発達しています。この後お出掛けする人や、買い物に行く人は十分な注意が必要です。
今年の夏はゲリラ雷雨の発生回数が多いと予想されています。
ウェザーニュースによる去年の発生回数と今年の予想回数を比較した地図では、西日本や関東と東北地方の一部など広い範囲で、7月から9月の3か月間で去年の1.5倍以上、ゲリラ雷雨が発生すると予想されています。
今年の夏は暖かく湿った空気が入りやすい状況のため、特に西日本を中心にゲリラ雷雨が多くなるという予想で、去年と比べて佐賀で3倍、大分では2.7倍などとなっています。
また、関東では、東京では去年並みですが、神奈川では2.4倍、茨城でも2.7倍などとかなり増える予想です。
このようなゲリラ雷雨は、大気の状態が不安定になると、突発的に、そして局地的に激しい雨や落雷をもたらすものです。このよく聞く「大気の状態が不安定」というのはどういう状態なのかというと、上空に冷たい空気があって、地上には暖かい空気がある状態のことです。
冷たい空気というのは重いので下の方へ移動しますし、暖かい空気というのは軽いので上へあがっていきますので、それが途中でぶつかりあって、暖かい空気が冷やされて積乱雲が発生します。
特に暑くて湿度が高い夏というのは上昇気流が発生しやすくなりますので、積乱雲が発達しやすくなってゲリラ雷雨をもたらすという仕組みです。
短時間で多くの雨が降ることで起きるのが、道路などの冠水です。
27日午後5時半ごろの栃木・高根沢町では、駅前が車道も歩道も完全に冠水していて、足首まで水につかりながら歩く人の姿も見られました。
ある女性は縁石の上を歩いて家まで帰ろうとしていましたが、途中で縁石が途切れてしまって引き返すことになりました。その後、ほかの人にならって、塀の上を歩いて冠水した場所を乗り越えて、無事、自宅に帰っていました。
まさに神出鬼没ともいえるゲリラ雷雨ですが、目の前の道が冠水していた場合にどうすればいいのか、水の事故を研究している水難学会の斎藤秀俊会長に聞きました。
もし、周りの道路が全て冠水して逃げ場がなくなってしまったような場合や、自分がいる場所の水位がどんどん上昇してくるような場合は、とにかくその場にとどまらずに、すぐにその場を離れてほしいということです。
また都市部の場合は、川から離れていてもマンホールや側溝から水が溢(あふ)れ出してきて、あっという間に冠水して危険な状態になるケースも多いということです。
そしてマンホールは、水が噴き出す前に「ガタガタ」という大きな音が鳴ったり、下水などの異臭したりがするそうです。このようなサインに遭遇した場合は、とにかくその場からすぐに離れて高い建物などに避難してほしいということです。
車で運転中に道路が冠水した場合には、どうしたらいいのでしょうか。
もしUターンができるような状態なら、すぐにUターンしてその場を離れてください。ただ、水がドアの下あたりまで来ていたら、もう車で逃げることはできませんので、急いで車から降りて避難するというのが原則です。
もし水がドアの下よりも、さらに上にあがってきそうな場合は、ドアが開かなくなってしまう恐れがありますので、まずは電源が生きているうちに窓を開けて、最終的には窓から脱出するということを考えてほしいということです。
その場合、外に出たときに水深が腰のあたりぐらいまで上がってきているということもあり、流されてしまう危険があるので、気をつけて避難をしてほしいということです。その際、手提げカバンなどは浮き輪の代わりになりますので、なるべく持って逃げること、そしてスマホなどがある場合は、通信手段になりますので、これも必ず持って逃げるということを覚えておいてください。
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都市部のゲリラ雷雨というのは、水の逃げ場がないために予想を超えるスピードで、あっという間に道路などが冠水して危険な状況に陥ります。「まだ大丈夫」と油断することなく、道路の冠水は避難のサインだと心得て、素早い判断と行動が大切です。
(2022年7月28日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)