ブルネイ皇太子夫妻 外交40周年の来日
■英国留学の話で盛り上がった昼食会
天皇皇后両陛下は3月8日、ブルネイのビラ皇太子夫妻を皇居に招き、昼食会を開かれました。昼食会に先立つ懇談で、天皇陛下は両国の外交関係40周年の節目の訪問を「たいへん意義深い」と述べ、「両国の関係が一層進展することを願います」と伝えられたということです。ビラ皇太子からは、能登半島地震に対する国王のお見舞いのメッセージが伝えられ、陛下は謝意を示されました。昼食会で陛下は、ビラ皇太子の結婚式でブルネイを訪ねた折に視察した水上集落の写真を取り出し、非常に印象深かったと思い出話をされていたそうです。
――井上さん、和やかな昼食会だったようですね。
はい。とても和やかだったと聞いています。ビラ皇太子も、両陛下も、共にイギリスのオックスフォード大学で学ばれた経験があり、大学の話で盛り上がったようです。
また、ビラ皇太子は、ブルネイの建国記念日が天皇陛下の誕生日の2月23日で、期せずして同じ日にブルネイは40周年、陛下は64歳を迎えたことを話題にしていたそうです。
■20年前に陛下は皇太子の結婚式でブルネイを訪問
天皇陛下は、2004年、ブルネイで行われたビラ皇太子夫妻の結婚式に出席されています。それから20年。そのお二人を外交関係40周年の節目に迎えて、昼食会でもてなすという交流がいいな、と思いました。
陛下はこの訪問の折に、「世界最大」と言われる水上集落「カンポン・アイール」を視察されていて、その写真を見せながら思い出話をされたそうです。
――陛下お得意の写真を使われたコミュニケーションですね。
そうですね。ビラ皇太子も思いがけない写真に喜ばれたと思います。
■去年12月にはボルキア国王と4男も来日
今回、ビラ皇太子夫妻は羽田空港に到着した際、秋篠宮ご夫妻が迎えられました。
――空港まで出迎えに行かれるんですね。
外国の賓客には、国王や大統領など元首を最高の接遇で迎える「国賓」、皇太子や副大統領などを国賓に準じて接遇する「公賓」などがあります。今回は「公賓」という位置づけでしたので、皇太子格の皇嗣・秋篠宮さまが羽田で迎えられました。
ブルネイの77歳のボルキア国王は在位56年で、世界の君主の中で最長の在位です。国王は令和の“即位の礼”に出席しました。去年12月にも日・ASEAN50周年特別首脳会議で来日しまして、4男のマティン王子と一緒に天皇陛下と懇談しています。こうした交流の積み重ねが友好親善を育てていく好例を見るような思いがします。ブルネイの建国記念の日と天皇陛下の誕生日が一緒というのも縁の深さを感じました。訪れた際の写真でコミュニケーションを図られたというのも思いの強さが表れていますね。
【井上茂男(いのうえ・しげお)】
日本テレビ客員解説員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)