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85歳でおばあちゃんが始めたYouTubeがバズったワケ

2022年5月29日 8:00
85歳でおばあちゃんが始めたYouTubeがバズったワケ
多良美智子さんと孫のあーすさん

85歳でユーチューバーデビューした多良美智子さん。自らの暮らしを公開して、2年でチャンネル登録者数は8万人超になりました。唯一の企画ブレーン、16歳の孫にだけでなく、皆に伝えたい“ある思い”とは。

■登録者数8万人超のYouTuberは80代のおばあちゃん?!

団地に1人で暮らす多良美智子(たら・みちこ)さんは1934年生まれの87歳。チャンネル登録者数8万人超のユーチューバーです。

YouTubeでは料理や手芸をする日常を公開。朝の習慣を記録した“モーニングルーティーン”や晩酌を愉しむ動画もあります。中でも、自宅に飾られた数々の手作りのインテリアを人生の思い出とともに紹介する動画は187万回以上再生されました。

この反響に美智子さんは、「こんな事態が起こるとは、夢にも思わなかった」と話します。

ユーチューバーとしての活躍が、出版社の目にとまり、今年3月には美智子さんの暮らしが書籍化もされました。

■「花は買わない」「着物をワンピースに」丁寧な暮らしの魅力

美智子さんの団地での暮らしには、知恵が詰まっています。

例えば、部屋に飾る草花は、家の近くで摘んできたものです。

美智子さん
「お花は買いません。高いですし、大げさな花はあんまり好きじゃないです。こういう草花の方が好きです」

花瓶は、調味料のゆずこしょうのビンを再利用することも。

シルクのワンピースは、リサイクルショップで着物を購入し、リフォームしました。

美智子さん
「新しい布は買いません。絹はね、すごく軽くて縫いやすいんですよね。こういう古い、安いもので楽しんでいます。」

■年齢にとらわれず挑戦する美智子さん

美智子さんの人生は、挑戦の連続です。65歳の時に調理師専門学校に1年通い、調理師の免許を取得。

当時、仲の良かった姉を病気で亡くし、失意のどん底にいた自分を励ますつもりでチャレンジしました。

ピアスの穴を開けたのは、80歳になった時。素敵なイヤリングを落としては無くしていたこれまでに別れを告げました。

そして85歳。YouTubeという、新たな世界に飛び込み、いつのまにか人気ユーチューバーに。

唯一のブレーンは、2005年生まれの孫・あーすさん(16)です。祖母と孫の二人三脚で企画を考え、撮影と編集はあーすさんが担当。

想像以上の再生回数にあーすさん自身も驚き、美智子さんの「年齢にとらわれず、何にでも挑戦する姿が視聴者の心に刺さっているのではないか」と分析しています。

■YouTubeを始めたきっかけはスマートテレビの購入

そもそもYouTubeを初めて見たのは2年前。新型コロナの感染拡大を受けて行われた10万円の給付金で、ネットに接続できる「スマートテレビ」を長男のすすめで購入したのです。

購入から1週間。YouTubeをやっていた孫のあーすさんに「私もYouTubeをやってみたい」と相談。

この時、美智子さんには、「私がいろいろお稽古事して作った作品が、死んだらみんな灰になる。それはちょっと寂しい」と、暮らしや手作りの作品を映像に残したいという思いがありました。

そして、85歳の祖母と15歳の孫のYouTubeの制作がスタートします。祖母の胸には「孫の好きなことを伸ばしてあげられるのもいいんじゃないか」という気持ちもあったとか…。

果たして、あーすさんの心中は?

あーすさん
「おばあちゃんがいなかったら多分YouTubeとかでこんな風に活躍できてなかったと思ってるので。自分は編集とかそういうのやってるけど、でも動画の中で重要なのって中身じゃないですか。おばあちゃんと動画を作れて良かったです」

普段は離れて暮らす2人。iPadでテレビ電話をつないで、食事をしているうちに企画アイデアが浮かぶこともあります。

■年を取っても挑戦する姿を届ける

50代~60代の人によく見られているという美智子さんと、あーすさんのYouTubeチャンネル。

美智子さん
「自分の親を見ているとやっぱり年取るのが嫌だとかね、不安になるとかっていう方が、私の動画を見て、“あんな風に元気にできるんだっていうのが分かって嬉しい”っていうコメントがたくさん来るんです。それちょっと嬉しいですよね」

今後について尋ねると、美智子さんは“ある決意”を語りました。

美智子さん
「年取って自分がね、弱っていくところも撮ってほしいと思います。どうしても死に向かっているわけですから、これからどんなことが起こるかもわかりませんけど、でもそれをやっぱり乗り越えていくところもね、見てほしいです。やっぱり皆さん、不安に思ってらっしゃると思うんですよね。年取るっていうことね。でも、当たり前のことなんですから、それを隠したりね、飾ったりしなくてもいいんじゃないかなっていうのが私の気持ちです」

■Good For the Planetウィーク

この記事は、日テレのキャンペーン「Good For the Planetウィーク」(グップラ)の一環で取材しました。

日本テレビ系列では、5月29日~6月5日を地球のためにいいことを考える『Good For the Planetウィーク』として、様々な番組や発信を通して、地球のため、暮らしのためにいいことを皆さんと一緒に考えます。

これにあわせて、日本テレビ報道局は様々な「地球や社会にいい取り組み」や実践者を取材し、記事を発信していきます。