未利用魚のアジを活用した「鰺わいドレッシング」を来年1月発売 相可高校の調理クラブが地元企業や料理人と開発 三重・多気町
三重県多気町にある相可高校の調理クラブは、サイズや漁獲量などが原因で活用できなかったアジを利用した「鰺わいドレッシング」を商品化し、来年1月から販売します。商品は、東京にある割烹「伊勢すえよし」店主の田中佑樹さん、辻製油(松阪市)と共に開発しました。
志摩市の安乗漁港で水揚げされ、活用できないサイズとされるのは、体長8センチから15センチメートルのアジの幼魚。調理に適さず処置に困るサイズということで、このアジを活用するため、今回の取り組みに行き着きました。
最初にアジをいぶして燻製にし、あじ節にする過程を経て乾燥させます。次にうろこや骨が目立たなくなるほどの細かい粉末にします。その粉末を、辻製油のオリジナルドレッシング「黒にんにくレストラン」に混ぜ合わせました。
担当者によりますと、これまでにさまざまな未活用魚を活用する取り組みを続けてきたものの、骨が多い、ひれの部分に毒がある、表面にぬめりが多く加工しにくいなどの理由で困難に直面してきた、といいます。
しかし、今回のドレッシングについては、志摩市の老舗かつお節店の協力を得て、骨が多いアジを微細な粉末に処理した結果、誰もが抵抗なく手に取ることのできる製品に仕上がりました。
魚のうま味を抽出した酸味の強いドレッシングで、甘さと酸味のバランスがとれた三重県産トマトとの相性は抜群だといいます。
担当者は「三重県の食材の持続可能性を保つ姿勢は、海を守る取り組みです」と話しています。
内容量は190ミリリットル、価格は約500円だということで、県内のスーパーのほか、辻製油の商品を取り扱っている小売店などで販売を予定しています。
相可高校には三重県で唯一の食物調理科があり、調理だけでなく経営も高校生だけで行っているレストラン「まごの店」を研修施設としています。
20年7月には、同校の調理クラブと田中さんによって共同プロジェクト「サステナブルキッチンまごの店」を発足し、「未利用魚・低利用魚の年間1トン活用」を達成するための取り組みを続けています。