原発避難者の集団訴訟 二審も「国の責任認めず」 名古屋高裁
福島第一原発の事故をめぐり、東海地方の避難者が国と東電に賠償を求めた裁判で、名古屋高裁は「国の責任は認めない」判断を示しました。
今から12年前、東日本大震災で起きた福島第一原発の事故。
岡本早苗さん(45)は当時、約60キロ離れた福島県伊達市に住んでいました。
避難が必要な地域ではないと判断されましたが子どもたちの健康被害を恐れ、名古屋に自主避難。
震災の2年後、津波を予見できていたにも関わらず国が対策をしなかったとして、120人あまりが国と東京電力を相手取り裁判を起こしました。
一審では東京電力に賠償を命じた一方、国の責任が認められず控訴。
岡本早苗さん:
「原発事故は終わっていません。原発事故は国の責任です。全国すべての被害者だけではなく、すべての国民で声を上げなければいけない。名古屋高裁の判決を直前に思うところです」
22日、名古屋高裁の判決は、一審に続き東京電力の賠償責任を認めた一方、「国が原発に対する規制権限を行使したとしても事故を回避できたとは認められない」などとして国への損害賠償請求を退けました。
原発事故を巡る訴訟は全国各地で起こっており、最高裁は去年6月、4つの集団訴訟について国の賠償責任を認めておらず、今回も同様の判断となりました。
岡本早苗さん:
「きょうは大変残念な判決でしたが、これを乗り越える判決を(最高裁で)勝ち取りたい」
22日の判決に対し東京電力は「今後判決内容を精査し、真摯に対応する」とコメント。
また原子力規制委員会は「国の損害賠償責任を否定する判決が出たものと承知している」とコメントしています。