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創業から3代続いた66年の歴史に幕 最終日はお客さんと共に名残を惜しむ 名古屋の名喫茶店「ライオン」

2025年2月13日 16:34
創業から3代続いた66年の歴史に幕 最終日はお客さんと共に名残を惜しむ 名古屋の名喫茶店「ライオン」
「閉店」の札を掲げる三奈さん

名古屋の喫茶文化を支えた名店が、1958年の創業から66年の歴史に幕を下ろしました。

最後の一日に密着しました。

祖母から3代、66年続いた名喫茶店「ライオン」

名古屋・東区泉。

1958年に創業した「純喫茶 ライオン」。

店内には、チャンネルを回して画面を切り替えるアナログテレビや創業当時からの古時計などが置かれ、まさに昭和レトロといった風情。

来店客:
「シャンデリアとかに店主の好みが詰め込まれていて、ステキな空間ですね」

来店客:
「居心地がすごくいいのと、流れている曲がオールディーズなので、すごくそのあたりが心に刺さります」

店を訪れたみなさんが、必ずと言っていいほど注文していたのは「自家製プリン」。

来店客:
「カラメルがしっかりした感じで、プリンの部分は硬めでめっちゃおいしいです」

来店客:
「たまご感が強いので、超好みですね」

数量限定のライオン名物「自家製プリン」は、プリンの硬さから、甘さ、カラメルの色に至るまで、先代でいったん途絶えたメニューを復刻しました。

プリンはクリームソーダといっしょに並べて、スマホで写真を撮る人が続出。

卵を3つも使いボリュームたっぷり。創業時からの味「エッグサンド」も人気です。

来店客:
「玉子焼きがあったかくて。外が寒かったので温まりますね。体の中から」
      
お客さんからの評判も良い喫茶店ですが、実はこの日で閉店……。
創業から66年の歴史に幕を閉じるのです。

店主は、3代目となる北林三奈(きたばやし・みな)さん。

1958年、名古屋・栄の広小路通り沿いにオープンした「コーヒー専門店 ライオン」。

初代店主(~2011年)は、三奈さんの祖母・ふみさんでした。

北林三奈さん:
「私が3、4歳のころ、喫茶店の店内をよくのぞきに行っていたんですね。すごくキラキラした店内には、クラシックやジャズの音楽がかかっていて。当時の喫茶店の景色として(記憶に)残っていますね」

2012年から2013年まで放送していた中京テレビの番組ロケ地にもなったこともある「コーヒー専門店 ライオン」。

タレントのスギちゃんも来店! テレビでおなじみのGジャン姿も披露していました。

その後、2代目店主(2012年~2015年)となった母の康子さんが、お店を継いでわずか3年で他界。

北林三奈さん:
「母が亡くなるときに『お店を開けて』って言ったんですね、一番最後に」

この母の一言で3代目になることを決心した三奈さん。

しかし、建物の老朽化などで店舗の移転を余儀なくされました。

食材の値上がりが経営に響き、閉店へ

そこにまた、ここ最近では新たな問題が……。
      
北林三奈さん:
「高いなって思いました」

パン、さくらんぼ、卵など喫茶店のメニューに欠かせない食材が、ほぼすべて値上がり。

だからといって大幅な値上げはできないため、ここ数年は赤字に陥っていたといいます。

そして、ついに閉店を決意。

北林三奈さん:
「これで終わりというのはやっぱりさみしいですね」
    
さみしいのはお客さんたちも同じでした。

来店客:
「『名古屋と言えば』という喫茶店がまた1つなくなってしまうのは、ずっと名古屋に住んでいる者としてはさみしい気持ちになります」

来店客:
「名古屋の宝と思っているので、さみしいの一言ですね」

移転前の、栄にあったころの旧ライオンを知っているお客さんもいました。
      
旧店舗を知る客:
「ファンがいっぱいいたと思う。有名だったもん、おばあちゃん」
 

いよいよ閉店の時間が近づいてきました……。

最後の客:
「本当に最後になっちゃった」

北林三奈さん:
「そうなんです。今日が本当に最終。ありがとうございました」

最後の客:
「おいしかったです。どうもありがとうございました」

最後のお客さんを見送った後、三奈さんは店のカーテンを閉じました。

北林三奈さん:
「(創業からの66年は)長いような気もしますし、いま思うとすごく一瞬だったような。(祖母や母は)ひとまずはよくここまでやったなって思ってくれてるんじゃないかな」

最終更新日:2025年2月13日 16:34
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