レトロな「焼き芋カー」がトレードマーク! おいしい“焼き芋”と“笑顔”を届ける焼き芋屋さん 東日本大震災を乗り越えた女性が始めた新たなチャレンジ
冬になると無性に食べたくなる「焼き芋」。寒さが増す季節、街角に漂う甘い香りに誘われて足を止める人も多いのではないでしょうか。
焼き芋屋さんといえば、軽トラックやミニバン、一昔前ではリアカーなどで移動販売するスタイルが定番ですが、名古屋の街中を走っていたのは、目を引くオレンジ色の三輪トラック。焼きたてほっくほくのサツマイモを売る「焼き芋カー」です。
焼き芋カーを運転する柳平美幸さんは岩手県出身。実家はお米農家です。13年前の東日本大震災で被災し、名古屋にやってきました。心機一転、何か始めたいとスタートしたのが焼き芋カーだったのです。
一方で、岩手の実家のことも気がかりだった柳平さんは、4年前から春になると岩手に戻って田植えを手伝う傍ら自家製ピザを販売。秋に稲刈りが終わったら名古屋で焼き芋を売るという、2拠点生活をすることに。
柳平美幸さん(38):
「(名古屋は)車文化が根付いている街なので、見たことない乗り物で焼き芋屋やっても、結構みなさん受け入れてくれる」
焼き芋“カー”というだけあって見た目は車のようですが、中はバイクのようなつくりになっていて、操作もバイクと同じ。運転席の横についているレバーをひっぱってエンジンをかける仕組みです。
1980年代製造の三輪トラックは最高時速35キロほど。ゆっくりでないと走れませんが、道路が何車線もある名古屋なら、迷惑になることも少ないとのこと。
柳平美幸さん(38):
「大きい通りだと流れには乗れないんですけど、がんばって走ってます。みなさん今のところ優しく見守ってくださっているので」
1本1本丁寧に時間をかけて焼いたサツマイモ。今では常連のお客さんもいます。
この日も、あったか~い焼き芋を求めてやってきたお客さんの中に常連だという人たちが。「おいしいですね、甘くて。しっとりしているんですけど(甘さは)わりとあっさりしている」「上品な味でおいしいです。寒いから(おいしさが)引き立つ」と柳平さんの焼き芋の魅力を話してくれました。
東日本大震災という逆境を乗り越え、新天地で新たなチャレンジを始めた柳平さん。これからまだまだ寒い時期が続きますが、柳平さんのオレンジ色の焼き芋カーを見つけたら、心がほっこり温かくなるかもしれません。