秋の味覚が軒並み高騰 サンマは不漁でマツタケも不作 さらに記録的円安で…
物価高に追い打ちをかけるように、旬を迎える秋の味覚のサンマ、マツタケ、クリが今年は軒並み高騰しています。
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ただでさえ食品の値上げが“今年最多”となった10月。(帝国データバンク調べ)普段使いの野菜もここ最近、高値が続いています。(平年比 にんじん・約5割高 大根・約3割高 東京都中央卸売市場)
買い物客
「新聞のチラシを見て、いろんな安いお店を探して」
家計がギリギリの状態に追い込まれる中、秋が旬の味覚も軒並み高騰しています。
近年、不漁続きで“高級魚”と化したサンマ。ご飯に炊き込んで提供している東京・目黒区の「こめの家」では、仕入れ値が例年の倍近くに上がっているということです。そして、一番の困りごとが、値段は高いのに、重さが半分程度しかない細身のサンマが大半になっていることです。
こめの家 広報・田中慶友さん
「例年に比べると、厚みですとか幅がですね、少し小ぶりかなと。(例年だと)ちょうど指一本分ぐらいは、太いかなと」
岩手・宮古市で開催される恒例の「サンマまつり」も、今年から「秋の味覚祭り」に名称を変更し、サンマの代わりにホタテなどを提供するほど“不漁”と“小型化”がますます深刻となっているのです。
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さらに、かつてないほど価格が高騰しているというのが、秋の味覚の王様「マツタケ」です。
国産も高値となっていますが、特に東京の市場で半分ほどを占める中国産のマツタケは、去年と比べ約2倍の価格となっているのです。(中国産マツタケ(1キロあたり) 去年8月・約9000円 今年8月・約1万7000円 東京都中央卸売市場)
もともと中国国内での需要が高まっている上、“干ばつ”の影響で不作傾向になっています。そこに、記録的な円安の影響で輸入価格や輸送コストが上昇していることが、“追い打ち”をかけています。
割烹峰屋 高澤慶長店長(東京・墨田区)
「(中国産の)マツタケを仕入れるのが、難しくなっています。今までこんな経験はないです」
割烹峰屋は、マツタケを使った一部料理の値上げに踏み切りました。
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モンブラン専門店の「栗りん」が提供する、まるで芸術作品のような「モンブラン」。黄金色のクリームの中にたっぷりと使われる秋が旬の果物「クリ」もまた、高騰しています。
栗りん マネージャー・向井佑紀さん
「(仕入価格は)結構上がっちゃってますね。今後の(仕入価格の)推移を見ながら、そこ(値上げ)は検討させていただければなと」
主産地・茨城県のクリの価格は、去年と比べて4割以上アップしています。(茨城県産のクリ 今年8月・約920円 去年8月・約630円 東京都中央卸売市場)
“和栗スイーツブーム”で需要が高まっている中、天候の影響を受け収穫量が減少し、需要と供給のバランスが崩れているということです。
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一方、この秋に“お得”だという果物が、今が旬のリンゴとナシです。東京・墨田区のスーパーイズミでは、立派なリンゴやナシが1つ77円(税抜き)で売られていました。
買い物客
「なんかすごく大きくておいしそうなので」
――値段はどうですか?
買い物客
「びっくりしますね。うれしいです、今」
スーパーイズミの五味衛社長は「数まとめて、思い切り特売してますね」と話していました。
産地によっては台風の被害を受けましたが、全体的には豊作の傾向で、例年より2割ほど安く買えるということです。