「買い取った車の減額交渉」命じられ… ビッグモーター元店長の新証言 前副社長による“降格人事”の実態
損害保険の不正請求が明らかになったことを発端に、さまざまな問題が浮上しているビッグモーター。前副社長による“降格人事”をにおわせる発言、そして上司からの「買い取った車の減額交渉」についての指示などが、元店長のLINEに残っていました。
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ビッグモーター元店長
「これは全部の店長が入っているLINE。このような副社長からLINEが来て」
私たちがビッグモーターの元店長から見せてもらったのは、兼重宏一前副社長から送られてきたというLINEです。
LINEの画面には、宏一前副社長からの「Googleマップの口コミやらない」「こんな簡単な方針すら実行できない店長は適性判断します」という発言が並んでいました。
元店長によると、当時、ビッグモーターに対するネット上の“口コミ”が悪く、全店で改善しようと指示があったといいます。その1週間後に「適性判断します」というLINEが届きました。この言葉は、店長からの「降格」を意味するといいます。
ビッグモーター元店長
「この日か次の日に(別店舗の店長が)店長降格に(なっていた)。自分(前副社長)が待っている答えじゃない返答が返ってくると『もう店長交代です』とか『すぐ人事案ください』とか。LINEの一言でその人の人生を変える」
“前副社長による降格人事”を恐れ、不適切な行為に及ぶこともありました。
ビッグモーター元店長
「自分たちでアカウント作って星5の口コミを書いたりもしていました」
――何回?
ビッグモーター元店長
「いや、もう数えられないですね。10回以上は絶対あったと思います」
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従業員を萎縮させていたという“降格人事”。宏一前副社長は、不正請求問題が起きた原因の1つである“頻繁な降格人事”を判断した人物とも調査報告書では指摘されています。会社側も…
陣内司 管理本部部長
「(宏一前副社長)はついかっとなって強い言葉で降格処分を行ったことに対し、あの時にこういうふうな形でするんじゃなかったなと」
“反省している”という兼重宏一前副社長。ただ、いまだに公の場に姿を見せず、コメントも発表していません。
ビッグモーター元店長
「もう最悪な対応だなと。まずは現場のスタッフにしっかりと説明と謝罪はするべき」
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さらに、この元店長は上司から驚きの指示を受けていたと証言しました。
ビッグモーター元店長
「一番多かったのは買い取った車の減額交渉。車を改めて査定した時に修理歴とか相違が発覚した際に『何十万単位で減額しなさい』と上から言われ、買い取ったお客様に減額の交渉をする」
中には、買い取ってから数か月たった後に値下げを交渉するよう命令されることもあったといいます。
当時の上司から送られてきたLINEには「腐食と事故 減額かヘンシャを」「色が違うんで減額してきてください。25万」という指示がありました。
ビッグモーター元店長
「一番ひどいと『買い取りません』っていう。無理やり車を家に置いて帰ってきたりとかっていうことも。こっちも生活かかっているので引くに引けず」
また、交渉がうまくいかなかった従業員に対し、当時の上司から送られてきたLINEには「減額できなかった場合は折半してください」との指示がありました。
事故を起こしたことがある車だと見抜けなかった担当者2人が、減額分を自腹で支払うよう命じられることもあったといいます。
ビッグモーター元店長
「ミスを一切許さない。失敗を許さない体制。今思えば異常だったのかな」
こうした新たな証言について、ビッグモーター側に問い合わせたところ「事実関係を確認します」という返事が返ってきました。
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ビッグモーターや損害保険会社7社に対し、金融庁は原因究明などのために法律に基づく報告徴求命令を出していますが、8月1日に新たな動きがありました。
特に、ビッグモーターと関係の深かった損保ジャパンに対し、他社よりも踏み込んだ調査を行うとの考えを示したのです。
金融庁は今月中をめどに回答するようビッグモーターなど各社に求めています。
(8月1日『news zero』より)