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京アニ事件「死刑判決」…責任能力認める 36人が犠牲…遺族「悲しみは今も消えない」 

2024年1月26日 5:43
京アニ事件「死刑判決」…責任能力認める 36人が犠牲…遺族「悲しみは今も消えない」 

36人が亡くなった、京都アニメーション放火殺人事件の裁判で、青葉真司被告に死刑が言い渡されました。被告は、判決後、裁判長の語りかけに大きく一度うなずきました。この死刑判決に、事件で娘を亡くした男性は「悲しみは今もなお消えない」と、胸の内を明かしました。

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“平成以降最悪”の放火殺人事件。36人の命が犠牲となり、32人が重軽傷を負いました。これまでの裁判で「京アニに作品を盗作された」などと犯行の動機を語っていた青葉真司被告(45)。


そして迎えた25日朝。京都地裁の前には、雪が降る中、裁判が始まる1時間以上前にもかかわらず、傍聴券を求めて行列ができていました。

午前9時半すぎ、青葉被告を乗せたとみられる車が裁判所の中へ。青葉被告は、弁護人に軽く会釈をし、表情を変えることなく、車椅子で法廷に現れました。

裁判長
「何か言っておきたいことはありますか」

青葉被告
「ありません」

「被害者参加制度」を利用し、多くの遺族も見守った裁判。裁判長は判決の理由について、青葉被告が「多くの人が働く場所を狙った計画的な犯行である」ことを指摘したうえで、次のように言いました。

裁判長
「いいことと悪いことを区別する能力も、犯行を思いとどまる能力も、著しく低下しているとは認められず、心神喪失でもこう弱でもなく、完全責任能力が認められる」

「炎や熱風の中で亡くなった被害者らの悲しみや苦痛は、筆舌に尽くしがたい。将来に希望を持って京アニで働いていた全く落ち度のない人たちだ。死刑を回避する事情はない」

死刑を宣告されたあと、裁判長の語りかけにゆっくりと大きくうなずいた青葉被告。遺族らのすすりなく声が響く中、軽くうつむいた状態で退廷しました。

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今回、裁判の争点になったのは青葉被告の「刑事責任能力の有無」です。

検察側は先月、被害者の多さなどから事件の重大性を指摘。争点の責任能力について、「自身の作品が盗作された」という被告の妄想は、「動機を強化した程度で限定的」と死刑を求刑。

一方、弁護側は「被告は当時、妄想や幻聴に支配されていて責任能力はない」と無罪か、そうでなくても減軽されるべきと主張していました。

京都地裁は「犯行の手段の選択などに妄想の影響はない」とし、刑事責任能力があると認めました。

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判決後、娘を亡くした男性が取材に応じました。

娘を亡くした男性
「(青葉被告が)生きて、やったことを認識して、悪いことをしたという気持ちが芽生えて、各遺族にわびるようなことがあれば、遺族の気が済むことがあるかもしれない。そういうチャンスがある判決を望んでいた」
「娘が亡くなった悲しみは、今もなお消えない。死刑が償いに値するのかは疑問だし、自身としては死んでもらっても、償ってもらった気にはならない」

一方、京都アニメーションの社長はコメントを発表。

京都アニメーション 八田英明社長
「判決を経ても、無念さはいささかも変わりません。彼らが精魂込めた作品を大切に、今後も作品を作り続けていくことが(彼らの)志をつないでいくものと、日々努力してまいりました。これからも可能な限り作品を作り続けていきたい」

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判決後、裁判員らは…。

裁判員
「すごい多い被害者の方々だったが、二度とこんな事件がないような、裁判がないようなことを思っている」

裁判員
「被害者の方々の被害感情を聞いていると、心に突き刺さるものがあったので、すごく苦しくもありました」

自身にも火が燃え移り、全身に重いやけどを負い、病院に搬送された青葉被告。その命を救った医師は…。

青葉被告を治療 上田敬博医師
「死に逃げをさせてはいけない。司法の場に立たせることが、自分たちの職務のひとつではないかと。やはりこのような事件って二度と起こしちゃいけない。どこかで今回の犯罪を食い止めることはできたんじゃないかと。同じような犯罪をおかすリスクが、この世の中に潜んでいると思う」

■廣瀬俊朗に聞く 「孤立」食い止める方法は…

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「どんな判決が出ても、ご遺族にとっては何も戻ってこないわけですし、本当につらいし、やりきれないだろうと思います。こういうことが二度と起きないためにも、孤立を深めていった被告に対して、社会が食い止めることはできなかったのか、みんなで向き合って考えていくべき問題だと思いました」

有働由美子キャスター
「あの時、青葉被告の命を救った上田医師は『死に逃げをさせてはいけない』という気持ちだったと語りました。その命に死刑判決が下りました。でも、救ったからこそ、わかった事実がたくさんあります。私たちはその重い事実と向き合い、2度と起こさない手立てを考え続けるよりほかありません」

(1月25日放送『news zero』より)