池袋暴走事故…飯塚受刑者死亡 松永拓也さんの思い【キキコミ】
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櫻井
東京・池袋で起きた暴走事故で、実刑判決を受けた飯塚受刑者が刑務所で死亡していたことが分かりました。93歳、老衰だということです。私は、2024年4月、事故で妻と娘を亡くし再発防止を訴えてきた松永拓也さんに話を聞きましたが、つい先ほど、改めて今の思いを伺いました。
櫻井
「飯塚幸三受刑者が亡くなりましたがこれまで向き合ってきて率直な思い、いかがでしょうか」
交通事故で妻・娘を亡くした松永拓也さん(38)
「いろいろな思いはあるのですが、まずは私としてはご冥福をお祈りしたい思いが第一にあって私たち遺族も本当にこの5年間苦しい思いをしましたし、妻と娘ももっと生きたかったと思うんです。すごく無念だったと思うんです。妻と娘に、もし死後の世界があるならば会うことがあれば一言だけ謝ってほしいですが、それ以上の彼に対する強い怒りや憎しみは正直あまり感じてなくて。」
2019年4月。東京・池袋で起きた車の暴走事故で、妻の真菜さん、娘の莉子ちゃんを亡くした松永さん。
車を運転していた飯塚幸三受刑者は一貫して無罪を主張していましたが、2021年に禁錮5年の実刑が確定し、刑務所に収容されていました。
飯塚受刑者との面会を強く希望していた松永さん。
2024年4月。
櫻井
「実際に対面するのでは、かなり心のハードルも高いと思うのですが?」
松永拓也さん(38)
「複雑な気持ちにはなると思います。だけれども、やはり最終目標、妻と娘の命を無駄にしない。社会から事故を減らしたいという目標のためには、彼に(感情を)ぶつけることはしないです。」
そして2024年5月、松永さんは飯塚受刑者と面会。アクリル板越しに、40分あまり話したといいます。
松永拓也さん(38)
「想像していたよりもかなりお年を召されていて正直なところ驚きました。『世の中の高齢者やそのご家族にお伝えしたいことはありますか』という質問をしました。これに関しては『早く免許を返すように伝えてください』と言っていました」
面会の最後、飯塚受刑者は、「ありがとうございました」と声を絞り出しお礼を述べたといいます。そして面会から5か月たった10月、老衰で死亡したということです。
櫻井
「25日も沖縄で講演活動をされて日本全国を飛び回って講演をされる日々だと思いますが、これからもこうした(再発防止を訴える)活動を続けていく気持ちは強いのでしょうか?」
松永拓也さん(38)
「それは変わらないです。妻と娘を亡くしたときに、妻と娘と約束したことだから2人の命を無駄にしないと、それが自分の生きる力にもなっています。だからやり続けたいと思います。何より、もうこんな思いは誰にもしてほしくない。それが一番です。
櫻井
「彼(飯塚受刑者)の思いを託されたというコメントもありましたが?」
松永拓也さん(38)
「私が勝手に託されたと思っているだけなんですが、私は彼の加害者になってしまった経験というのもこの耳で聞くことができたので、彼の経験・彼の言葉を無駄にしないように、活動としてつなげていきたいです。彼の言葉というのも活動に生かしていきたいです。再発防止のために」
(11月25日放送『news zero』より)