「肥満人口」10億人突破……日本の傾向は? BMIが最も高いのは〇〇県 “自己責任”ではない背景と対策【#みんなのギモン】
そこで今回の#みんなのギモンでは、「世界肥満デー 日本は大丈夫?」をテーマに、次の2つのポイントを中心に解説します。
●肥満の傾向? 都道府県は?
●内臓脂肪 日本人ためやすい
「3月4日は『世界肥満デー』です。WOF(世界肥満連合)によると、肥満の対策が取られなければ、2035年までに世界の半数以上が肥満あるいは過体重(肥満の一歩手前の状態)になると、警鐘を鳴らしています」
「また、英医学誌『THE LANCET』によると、世界で肥満の人が10億人(約8人に1人)を突破したという研究結果もあります」
藤井貴彦アナウンサー
「食べ物がたくさんあって身体が大きくなるということは幸せではありますが、それが日本にも影響を与えそうなんですか?」
菅原解説委員
「そうなんです。日本でも肥満の人が急激に増えているということです」
菅原解説委員
「日本の肥満の状況はどうなっているのでしょうか。厚生労働省の2019年国民健康・栄養調査によると、男性の33.0%、女性の22.3%が肥満という結果でした。2021年の発表では、肥満度の目安となるBMIは全国平均で男性が24.0、女性が22.6でした」
「日本ではBMIが22で標準、25以上を肥満としていて、全国平均では男女ともに肥満の基準は下回っています」
菅原解説委員
「ただ、厚労省資料(2017~2019年)で都道府県別に見ると、肥満の基準ギリギリの数値になっているところがあります」
「男性(20~69歳)は3番目に高いのが青森県、2番目が香川県でともに24.9(小数点以下が高い順)。女性(40~69歳)は3番目が佐賀県(23.6)、2番目は山形県(24.0)でした。そして最も高かったのは、男女ともに同じ都道府県でした」
徳島えりかアナウンサー
「雪深い地域だと、冬に外になかなか出られなかったり、寒いと外出がおっくうになるので、北国じゃないでしょうか?」
菅原解説委員
「実は真逆で、暖かい沖縄県でした」
菅原解説委員
「4日、沖縄県に聞いてみました。『一概には言えない』ということですが、食文化が要因の1つと考えられるそうです。気温も湿度も高いため、食材をダメにしないように何でも油で揚げて食べることが多いそうです」
「他にも、野菜の摂取量が少ないことや、お酒の飲みすぎなどを挙げていました」
徳島アナウンサー
「おいしい食べ物が多いですし、ついつい気候がいいので、飲み過ぎたり食べすぎたりしちゃうんですかね…」
■東京は男性が40番目、女性が41番目
菅原解説委員
「逆に、最もBMIが低かったのは男性が滋賀県(23.1)、女性が京都府(21.5)という結果になりました。東京都は男性が23.6で40番目、女性が22.1で41番目でした」
河出奈都美アナウンサー
「東京は思ったよりも低かったですね。自分もついつい時間がないとジャンクフードとかをたくさん食べてしまって、『あー、食べすぎた』なんて思うことがあるんですけども、(東京が)低いからといって自分が食べすぎないように気をつけなきゃいけない…」
菅原解説委員
「肥満でも健康だと別に問題はないのですが、あらゆる病気のもととも言われていますので、注意が必要です。日本肥満学会によると、肥満に加えて高血圧などの健康障害がある場合には、ただの肥満ではなく『肥満症』と呼ばれ、治療の対象となります」
「また、BMIが25未満だったとしても、注意が必要なのがメタボリック・シンドローム(腹囲は男性が85センチ以上、女性は90センチ以上)で、命に関わる疾患を引き起こすリスクが高まってしまうということです」
菅原解説委員
「ここからは、内臓脂肪を日本人はためやすいというポイントについて考えます。最近の日本の肥満傾向について、日本肥満学会理事の神戸大学大学院・小川渉教授によると、成人男性や子どもの肥満が増え、メタボや糖尿病と診断される子どもも増えているそうです」
「さらに、日本ならではの特徴もあるということです。日本人はBMIが低くても内臓脂肪を蓄積しやすい体質で、糖尿病にもなりやすいということです」
「これは、いわゆる『隠れ肥満』にも通じていますよね。一見すると細身で太っているようには見えなくても、内臓脂肪が多い状態を言います」
「小川教授によると、隠れ肥満は特に高齢者に多いそうです。私は若い女性に多いのかなという印象がありましたが、高齢になると体格は小さくなる一方で、内臓脂肪は年齢が上がるほど増えていくためだといいます」
刈川くるみキャスター
「両親や祖父母が見た目でふっくらしてきたら『一緒に運動しようよ』と声をかけることはできるんですけど、内臓脂肪はなかなか目に見えないので、その分注意が必要だなと思いますね」
菅原解説委員
「肥満が増えてしまう背景に何があるのでしょうか。日本肥満学会は、『現代人にとっては肥満や肥満症が自己責任だという考え方は誤っている』としています」
「車社会で歩かなくなり、気軽に行けるコンビニでおやつをついつい買ってしまうなどが(背景に)あります。また、環境の変化やストレスなどが、肥満や健康障害を増加させる、つまり社会的な問題もあると指摘しています」
菅原解説委員
「日本肥満症予防協会は予防策を挙げています。まず、夜間に食べすぎないようにすること」
藤井アナウンサー
「夜食べるのおいしいんですよね」
菅原解説委員
「また、ゆっくりよく噛んで食事に時間をかけること」
藤井アナウンサー
「おいしいとすぐ食べちゃうんですよね」
菅原解説委員
「短い距離でも歩くように運動を心がけることなども挙げています」
藤井アナウンサー
「今スマートフォンで見たら、(私は)今日は5078歩しか歩いていないんですよ。1週間ずっと見ていても、1万歩を超えている日がほとんどないんですよね」
「車社会だとかコンビニが近いからとか、歩かないとか、『あなたの責任じゃない』とは言え、自分で歩かないと自分の健康管理ができなくなってくる世代なんですよね」
「スマートフォンでもいいので『今日何歩歩いたかな』と考えてみたり、『この後食べすぎちゃうと明日の朝までもたれてしまうな、肉になってしまうな』と考えながら、1つ1つの所作を自分の健康に向けていくということが、これから大切なんじゃないでしょうか」
「春はお花見などもありまして、いろんな楽しいイベントがおありでしょうけれども、皆さんの健康を願っております」
菅原解説委員
「健康が一番ということで、体形も自分の個性という考え方はもちろんあるんですけど、健康を害するほど太ってしまったり、やせすぎたりするのも良くありませんよね。健康かどうかということをポイントにして自分の体形と向き合うことが大切だということです」
(2024年3月4日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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