日本版“ライドシェア”発進 ドライバー「スキマ時間の仕事」…初日の感触は? 街では「違う所に連れて行かれるんじゃ」不安も
日本版ライドシェアが8日、都内でスタートしました。初日を終えてどうだったか、ドライバーや運行管理をするタクシー会社に取材しました。一方、街の人からはライドシェアに対する不安の声も聞かれました。気になる安全面はどう確保しているのでしょうか?
8日、斉藤国交相と河野デジタル相も参加したライドシェアの出発式が、東京・江戸川区で行われました。全国に先駆けて、東京23区などでライドシェアが始まりました。
二種免許を持たない一般ドライバーでも自家用車を使い、有料で客を運べるようになるものです。タクシードライバー不足の解消が主な目的のため、日本版ライドシェアではタクシー会社の運行管理の下、地域や時間帯を限定してのスタートとなりました。
この日夜、ライドシェアのドライバーとしてデビューし、6組の客を乗せた男性に話を聞きました。『ライドシェア』と書かれた表示灯を手に、男性は「これを付けるのが義務。これとアルコールチェッカーと体温計が(タクシー会社から)支給されていますね」。
――お客さんと会話されましたか?
男性
「めちゃくちゃ話しました。迎えに来る車がこれ(一般的なタクシー車両と違うミニバン)だったんで、(客も)ライドシェアに興味があるらしく。いつもだったら朝15分とか20分待つのに、今日は(来るのが)『早かった』って喜ばれたお客さんもいました」
普段は会社経営をしている男性。平日の午前中の時間を使ってドライバーをやるといいます。「ただ家で寝ているぐらいだったら、これでも1日数千円から1万円にでもなれば」と話します。
GO株式会社の調査によると、都内で採用されたライドシェアのドライバーは約9割が男性でした。20代から50代が約8割を占め、ドライバー職の経験者と未経験者の割合は半々。志望動機は『スキマ時間で働けるから』が最多でした。
ドライバーデビューした男性
「週40時間以上働いている人は基本的に、ライドシェアをできないんですよ。お金としては決して良くはないんですよね。ただスキマ時間にやる仕事としてはこんなものかな、という…」
契約した一般ドライバーのうち、8日に50人が稼働した都内のタクシー会社・日本交通は、4時間で約300組の客を乗せたといいます。
――初日の運用はいかがでしたか?
日本交通の広報担当者
「初めてお客様を乗せるという方もいらっしゃったと思いますので、戸惑わなかったかなとか、アプリをしっかり操作できたかなとか、そういったところがありましたけど、ひとまず(初日は)終えることができて良かったかなと思います」
8日夜、東京・渋谷区でライドシェアへの印象を聞きました。
期待する声がある一方で、「運転の技術がタクシーに比べて不安かなと」「事故を起こした時の保険とかは気になりますよね」「目的地と違う所に連れて行かれちゃうんじゃないかなと…」といった不安の声も上がりました。
気になる安全面はどう確保しているのでしょうか。運転前に呼気中にアルコールが含まれていないかチェックする様子を、日本交通で見せてもらいました。
広報担当者は「スマートフォンのデバイスに向かって息を吹き込むようにしているので、本人が吹き込んでいる映像を見ることができます」
――ごまかしは利かないわけですね?
広報担当者
「言ってみればそうですね」
日本交通では健康診断や、2度の顔を合わせた面接を経て、一般ドライバーを採用。研修を経てようやくデビューします。業務前には車両点検もしてもらっているということです。
広報担当者は「ドライバー供給が不足している時間帯があるというところから(ライドシェアは)始まっていますので、まずはそこを少しでも回復するような方向に貢献できればなと思っています」と話しました。
ライドシェアは4月中に、神奈川・愛知・京都でも始まる予定です。
(4月8日『news zero』より)