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【解説】イワシ大量死“処理水が関係”? ニセ情報も 英大衆紙まで…どう対応?

2023年12月13日 6:13
【解説】イワシ大量死“処理水が関係”? ニセ情報も 英大衆紙まで…どう対応?

今、北海道で起きている大量の魚が打ち上げられる事態。福島第一原発の処理水が原因であるかのような記事を、イギリスの大衆紙が配信しました。さらにSNSには、魚が打ち上げられたアメリカの海の映像を『フクシマウオーター』とする“ニセ情報”も…。

■大量死と“処理水” 英大衆紙「放出の3か月後」

有働由美子キャスター
「北海道函館市の海岸に7日、イワシやサバなど1000トンを超える魚が打ち上げられ、ニュースになりました。12日も回収作業に追われ、すべて終えるのに2週間ほどかかるといいます。この話で今、腹立たしいことが起きていまして…」

「それが、イギリスの大衆紙『デイリー・メール』が配信した記事。タイトルは、『死んだ魚が日本の海に漂着。福島の処理水放出の3か月後』となっていて、福島第一原発と函館の位置関係を示す地図までつけています。まるで魚が死んだのは処理水が原因であるかのように印象づけているんですよね」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「この記事の内容について、日本政府は『科学的根拠がない』と否定しています。ただ、デイリー・メールは記事をSNSにも投稿しています。TikTokだと150万回以上も再生され、5万6000の『いいね』、3000以上のコメントがつきました」

「どんなコメントかというと『曲がったメディアを信じるなよ、みんな』とちょっと冷静な感じもするものもあれば、一方で『汚染水放出で魚が死ぬということ?』『核の魚?』と、記事を信じたようなコメントもあります」

有働キャスター
「なんかちょっと嫌なコメントが広がっていますね…」

小野委員
「これだけじゃないんです。今月、Xに投稿されたものなんですが、打ち上げられた大量の魚の映像とこんな説明が書かれています。『北日本の海岸』、そして『フクシマウオーター』。でも実はこの映像自体、日本じゃないんです。元の映像はアメリカのFOXテレビが報じたもので、テキサス州の海に打ち上げられた魚の映像でした」

有働キャスター
「まったく同じですね…」

小野委員
「こういうのを『悪用』といいます。SNSでは、こうした打ち上げられた魚と福島の処理水を関連づけるような投稿を繰り返しているアカウントもあるんです」

■専門家が考える「可能性」は

有働キャスター
「あの函館で今回、魚が打ち上げられた本当の理由というのは何なのですか?」

小野委員
「そのナゾについては、函館水産試験場の藤岡崇専門研究員に聞きました。いくつかの可能性があると言っています」

「(可能性①)この時期、イワシは北海道から本州方面に向かって南下するといいます。その途中でたまたま冷たい水のエリアに遭遇し動きが鈍くなったり、仮死状態になったりで身動きとれなくなった可能性がある」

「(可能性②)または、イルカやマグロなどに追われて沿岸に追い込まれてしまった可能性がある」

「いずれにしても、処理水が放出される前から一定の頻度であったことだといいます。そして、原子力規制庁の幹部にも聞いてみました。『仮に放射性物質を吸収したとしても、あんな状況が起きるのはあり得ない』といいます」

「水産庁の担当者は『魚についても、水についても政府がモニタリングしていて問題ない。科学的根拠をもとに理解を求めていく』と話しています」

■拡散する“ニセ情報”打ち消すくらいに…

有働キャスター
「落合さん、科学的に証明されているのに記事やSNSで都合のいいように書かれて事実のように出回るわけですよね。これ、どうしたらいいんですか?」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「大抵、拡散した情報は間違っていても止めることはできないし、信じる人はいるので、それを打ち消すくらいにSNSを活用するなりして正しい情報を定期的に発信していくっていうのがブランディングには必要だと思います」

有働キャスター
「どういうふうに?」

落合さん
「賛否両論どちらも取り上げてくれないといけない。例えば、小泉進次郎さんが福島の海でサーフィンした話題とかありましたよね。ああいう、ポジティブな発信を政府や自治体が頑張ってやってもらえるといいかなと思います」

有働キャスター
「『定期的に』と言いましたが、これだけ大量に出回るとどういうふうに…」

落合さん
「ああいうニュースが来ても、負けずに『それは違います』と言いつつ、こっちはこっちで発信していくしかないですよね」

有働キャスター
「拡散のスピードには追いつかなくても、政府や東電がしっかり打ち消して、デマはいち早く刈り取ってほしいと思います」

(12月12日放送『news zero』より)