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「核兵器」北東アジアで“シミュレーション” 260万人が亡くなるケースも 専門家「リスクについての認識を深めることは大事」

2023年5月19日 6:06
「核兵器」北東アジアで“シミュレーション” 260万人が亡くなるケースも 専門家「リスクについての認識を深めることは大事」

19日からのG7広島サミットでは、「核なき世界」に向けてどのようなメッセージが発信できるかがポイントになります。長崎大学などが、日本を含む北東アジアで核兵器が使用された場合のシミュレーションを専門家らと行いました。試算では260万人が亡くなるケースも…。長崎大学の鈴木教授は「リスクについての認識を深めることは大事」と述べました。

■「核兵器」使用をシミュレーション…想定される5つのケース

中島芽生アナウンサー
「19日に開幕するG7(主要7か国首脳会議)サミットでは、『核なき世界』に向けてどのようなメッセージを発信できるかがポイントになりますが、もし実際に核兵器が使われたらどれくらいの人が亡くなるのか…そんなシミュレーションがあります、小栗さん」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「各国の核兵器の威力や保有している数などをもとに、長崎大学などが専門家らとシミュレーションしたものですが、場所はいずれも日本を含む北東アジアで、たとえば『ウクライナ侵攻を続けるロシアが使用して、アメリカが応戦したケース』、それから『北朝鮮が使用してアメリカが応戦したケース』、さらには『台湾をめぐって中国が使用して、アメリカが応戦したケース』などの5つのケースが想定されています」

「この中で、『テロリストが日本の東京・新橋に核兵器を1発、使用した場合』(シミュレーションの試算では)爆風や炎の柱(=火災旋風)などで数か月の間に亡くなる人は22万人だといいます」

中島アナウンサー
「“核兵器1発”なんですよね…?」

小栗泉解説委員
「そうですね。これに加えて放射性物質の影響で、がんで亡くなる人は長期的にみて、この倍以上になるといいます」

「次に、『北朝鮮がアメリカを交渉のテーブルにつかせるため、韓国の沿岸部に向けて威嚇で“1発”使用して、これにアメリカが応戦して、北朝鮮に対して“2発”使用した場合』です。この場合は、数か月間の死者は1万1000人にのぼります」

■広島型の原爆の約16倍の威力 24発の核兵器 最も多くの犠牲が出ると想定されたケースは

小栗泉解説委員
「そして、最も多くの犠牲が出ると想定されたのが、『台湾に中国が侵攻、これにアメリカが反撃して分が悪くなった中国が、広島に投下された原爆の約16倍の威力の核兵器などを使って、日本や韓国のアメリカ軍基地を攻撃する場合』です。アメリカも核で応戦して、合わせて24発の核兵器が使われて、260万人が亡くなると試算されています」

中島アナウンサー
「いずれのケースも考えたくはないですけど、今の情勢を考えると『絶対にない』とは言い切れない状況ですよね…」

小栗泉解説委員
「そうですね。こうならないために、19日からのG7では核をめぐる各国首脳の議論に注目したいですが、試算した長崎大学の鈴木達治郎教授は『シミュレーションは被爆地、被爆者の方々にとってはつらいもので、研究する側にとっても楽しいことではない。でもリスクについての認識を深めることは大事。核兵器は通常の兵器とは違うし、使用されたら1発で終わらないということも認識してほしい』と言っています」

中島アナウンサー
「廣瀬さんはこのシミュレーション、どのように受け止めましたか?」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「このように具体的な数字で見ると、改めて恐ろしいと思いました。長崎大学の資料によると、“誤解”とか“コミュニケーション不足”が先制攻撃につながるとあったので、まずはお互い関係を絶たないでほしいですし、あとは、G7で『核兵器は使わない』ということをきっちり発信してほしいですね」

中島アナウンサー
「19日以降の議論もしっかりとみていきたいです」

(5月18日放送『news zero』より)