【解説】群発地震続く能登半島 地下にある流体?の正体を海から調査へ
2020年末から群発地震活動が続く石川県能登半島。地震の原因が分からない中、研究者たちは地下の構造を明らかにしようと海底での電磁気観測を実施しています。社会部災害担当・小林克之進記者が解説します。
今月12日から18日までの期間、国内では震度1以上の地震が37回発生しました。うち震度3以上の地震は3回でした。
▼13日の午前9時52分頃、北海道の函館市(はこだてし)などで震度3を観測する地震がありました。この地震の震源は青森県東方沖でマグニチュードは5.1、震源の深さは54キロでした。
▼18日午前11時09分頃、茨城県や千葉県で震度3を観測する地震がありました。震源は千葉県北東部で地震の規模を示すマグニチュードは4.6でした。
▼18日午後7時5分頃、沖縄本島北西沖を震源とするマグニチュード5.5の地震がありました。この地震では久米島町(くめじまちょう)で震度3となっています。
日本時間の午後4時前、沖縄県石垣市などで震度1を観測する地震がありました。この地震では直後に日本の気象庁が宮古島・八重山地方に津波注意報を発表しましたが、津波の観測はありませんでした。
地震の規模について日本の気象庁はマグニチュード7.3と発表しています。一方、現地の気象当局はマグニチュード6.8と発表しています。台湾で観測した揺れは、日本の震度では6相当にあたるとみられています。
今回は地震の震源が台湾の内陸部ということで津波は発生しませんでしたが、仮に震源が海底だった場合には津波が発生する可能性もあります。台湾では地震が相次いでいますので注意が必要です。
2020年末から群発地震が続いている能登半島ですが、原因について地下深くにある水のようなもの、流体が関与しているのではないかという見方が強まっています。
そんな中、大学や研究機関などが原因を究明しようと先週から海底調査を始めました。金沢大学などは去年は陸上から地下の構造を研究していましたが、今回は海底に機械を沈めて「電磁気を測定」することで地下深くにある流体の分布をより正確に把握しようというのが狙いです。
金沢大学・平松良浩教授
「陸域の観測だけでは15キロの深さの結果の信頼性がやや乏しいです。その信頼性を上げるためには海での観測も必要なので、今回海底での電磁気観測を実施することになりました」
今回の調査でより深い部分の地下の構造を明らかにし、地震と地下の流体の関係性の解明が期待されるということです。
兵庫県立大学・後藤忠徳教授
「立体的な地下構造、地下の電気の流れやすさ、流れにくさを求め、それから地下の流体がどのあたりにどれぐらいの量あるのかを解明する予定です」
海底で取得したデータは来月下旬に回収する予定で研究の結果は今年度中に報告される見込みです。
地震活動が活発になった2020年末から月別地震回数です。今年7月以降は減少しているように見えますが、2021年5月以前と比べると多く発生している状況が続いています。政府の地震調査委員会も能登半島の地震活動は当分続くと考えられるということです。
今後も被害を伴うような大きな揺れが発生する可能性が高いとの見解も示していて、強い揺れに備えをしてほしいと改めて呼びかけています。