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厄介な"土"ー熱海土石流2年 身近に潜む危険

2023年7月29日 15:41
厄介な"土"ー熱海土石流2年 身近に潜む危険

静岡県熱海市の土石流災害から2年。盛り土が崩壊して大量の土砂が28人の命を奪った。国は盛り土を規制する法律を施行。しかし取材を進めると、残土の行き場がない実態、悪質な業者の存在があった。行き場のない厄介な"土"が私たちの命を脅かしている。

   ◇    ◇    ◇  

静岡県職員
「あそこの土砂を撤去してほしい」
違法業者
「そんなことできない。どうしてやるだね。言っているだろ体調子悪いって」
静岡県職員
「きょう話せないなら今度また話しにきますので 」

違法業者
「殺すつもりか!コラ」

危険な盛り土を放置する悪質な業者。この業者が造成した盛り土からは、巨大な石が隣の住宅の敷地内に落ちてきたことも…

静岡県職員
「落ち着いて話をしようと思っていますので」

違法業者
「何が落ち着くだ!4人も5人も来て、ガンガンガンドンドンドン。
ばかやろう!帰れ!このやろう!帰れと言っているだろ!」

危険な盛り土の根絶に向け、悪質な業者と本気で向き合い始めた行政。きっかけにあったのは28人が犠牲になった熱海での土石流。雨水が浸み込み、緩んだ"土"が容赦なく襲い掛かりました。

崩落した盛り土は業者が金もうけのために造成したもの。熱海の土石流を受けて行われた調査で、無許可や必要な対策がされていない盛り土が全国でおよそ1100か所見つかった。そのほとんどが違法に投棄された建設残土。静岡県は去年"盛土対策課"を新設した。

静岡県"盛土対策課"職員
「どういう経緯で盛り土がされたのか、聞き取り調査をしたい」

    ◇

悪質な業者に狙われているのが世界遺産・富士山のふもと。私たちが取材を続けると、違法処分をあっせんする残土ブローカーの存在が明らかになった。

残土処分を仲介している男性
「1億まではいかないが数千万ですね」

ディレクター
「なぜ残土ブローカーの仕事をするのか?」

残土処分を仲介している男性
「お金になるからでしょ。やっぱりお金がほしいからね。熱海の土砂崩れとか言っているんじゃなくて、もっとこの辺、伐採させて考えていかないと。土はどんどん増えるんだから。無くならないものだから永久に」

残土ブローカーに送られていたのは運搬業者からのメッセージ。

届いたメッセージ
「改良土のトレーラーが横浜、東京方面から来たい話があるので」

残土処分を仲介している男性
「富士、富士宮はほとんど無許可ですよね。もうしょうがないよね。そうしないと工事が回らないんだから。じゃあそれどこに持っていくのって。逆にこっちが聞きたいよね」

富士山麓の盛り土には、主に首都圏から残土が運び込まれているという。

残土処分を仲介している男性
「静岡県で捨てているのはほとんど神奈川の人、神奈川と関東方面の人」

    ◇

熱海の土石流で、母と弟を亡くした酒井真理乃(まりの)さん。

酒井さん

「母は本当に花が好きだったので」

違法な残土処分に対する怒りがこみ上げてくる。

酒井さん
「国・役所がやることは知らないうちに決められちゃって。何か(事故が)あったときは後手後手で…つけがまわってくるのは市民の方なので。開発するのはいいことだけれど、しっかりと見届けてやってほしい」

毎年のように各地で発生する豪雨災害。水を含んだ緩んだ"土"は、私たちの命を脅かしている。

  ◇    ◇    ◇  

2023年7月2日放送 NNNドキュメント'23『厄介な"土" 熱海土石流2年 身近に潜む危険』をダイジェスト版にしました。 

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