「あこがれのホテル」「ずっと続いてほしい」 名だたる文豪に愛された「山の上ホテル」休業へ
東京・神田に門を構えて86年、名だたる文豪にも愛された「山の上ホテル」。建物の老朽化への対応を検討するため、来年2月から当面の間、全館休業することを発表しました。
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しばしの別れに24日、ホテルの前にはカメラでその姿を収める人たちがいました。
約40年前宿泊した人(80代)
「もう40年も前に泊まったことがあって。雰囲気がクラシカルな感じでいいので、せっかくの歴史ある建物をもったいないなと思って」
閑静な高台にたたずむ「山の上ホテル」の建物は、86年前の1937年に完成。その後、1954年にホテルとして開業しました。
長い歴史を刻む中で「文化人のホテル」としても有名になりました。その由縁は、出版社などが多い神保町に近く、作家たちが“カンヅメ”になって執筆活動をしていたことだそうで、ノーベル文学賞を受賞した川端康成や「金閣寺」などで知られる三島由紀夫も定宿として利用していたといいます。
ホテルについて、三島由紀夫は「ねがはくは、ここが有名になりすぎたり、はやりすぎたりしませんやうに」との言葉も残しています。
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山の上ホテルは、作家だけではなく、街の人たちにとっても思い出深い場所となっています。友人の結婚式で訪れたことがあるという男性は…
友人の結婚式で訪れた(60代)
「山の上に手が届かないという感じ。中に入ってみて、“これが山の上ホテルか”と感動した記憶があります」
宿泊はしたことはないが、“あこがれ”があるという女性は…
女性(50代)
「大好きな斉藤和義さんの歌にも出てくるので、そういうところ全てがあこがれ。いつかは、いつかは泊まりたい、あこがれのホテル。バーとかだけでも、2月までに1回せめて味わわせていただこうかなと」
すると、インタビューの後に早速、バーを訪れたそうです。
女性(50代)
「一流ですね…素晴らしいですね。居心地良く過ごさせていただきました」
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山の上ホテルは“食”でも人々を魅了してきました。揚げたてが頂ける天ぷらや、レトロな店内で頂けるプリンアラモードなど。
24日にカフェを訪れた人は…
カフェに来た親子
「山の上ホテルの秋の限定のパフェを食べに来ました。雰囲気も落ち着いていて過ごしやすかったので。母を連れてくるにはいいかなと」
休業は24日に知ったそうです。
カフェに来た親子
「ショックです。歴史あるホテルですし、ぜひまた新館か、できてほしい。ずっと続いてほしい」
休業後もホテルとして続けてほしいという声が広がっています。