【気象解説】台風10号 九州接近中 “台風の特別警報” 最大級の警戒を
数十年に1度という規模の災害が予想される場合に最大級の警戒を呼びかける「特別警報」が、鹿児島県で出されている台風10号。雨や風の予想、今後の進路などについて、市村紗弥香気象予報士が解説します。
藤井貴彦キャスター
「気象庁のキキクルで土砂災害の危険度を見てみると、台風が接近している九州南部では鹿児島県や宮崎県ですでに警戒レベル4相当(危険)の紫色になっています。そして、四国の一部でも警戒レベル4相当(危険)の紫色になり、警戒レベルが非常に高くなっている状況です」
「これらの地域では、今まさに災害が起きてもおかしくない状況です。ただ、夜暗い時間に避難するのはかえって危険な場合もあるので、ご自宅にいる方は崖から離れた2階以上の部屋でお休みになるなど、ぜひ注意をしてください」
「あらためて、市村紗弥香気象予報士に詳しく伝えてもらいます」
市村紗弥香気象予報士
「この先の雨雲の予想を見ると、九州南部や四国では、同じような場所で活発な雨雲がかかり続けそうです。九州南部では29日夕方までに600ミリ、そして30日夕方までにさらに400ミリと、これまで経験したことのないような大雨となるおそれがあります」
「特に鹿児島県と宮崎県では大雨特別警報を発表する可能性、つまり命の危険に関わる、記録的な大雨となるおそれがあるということです」
「また、東海や関東でも29日午後になると発達した雨雲が流れ込み、東京でも土砂降りの雨になるところがありそうです」
市村気象予報士
「さらに最大限の警戒が必要なのが風です。気象庁は28日、数十年に1度という規模の災害が予想される場合に、最大級の警戒を呼びかける“台風の特別警報”を発表しました」
「これは台風の中心気圧が930ヘクトパスカル以下、または最大風速が50メートル以上(中心付近)で近づく場合に発表されるものです。対象にしているのが暴風・波浪・高潮の3つで、すでに鹿児島県ではすべての特別警報が出されています」
「この特別警報が発表されるタイミングは、台風の中心が到達する約12時間前。つまりこれは“避難のための期間”です。暴風・波浪は午後1時に発表されたので、まさにこのあとの時間は最大級の警戒が必要です」
市村気象予報士
「風の予想を見てみると、29日に鹿児島では最大瞬間風速70メートル、これは電柱が倒れたり、家屋が倒壊したりするような風で、経験したことがないような猛烈な風が予想されています」
藤井キャスター
「歴史的な被害を残した台風と同じくらいの過去最強クラスの台風といわれていますが、雨風が長く続いていくというのも特徴のひとつなんですね」
市村気象予報士
「そうなんです。あらためて最新の進路図を見ていくと、28日午後11時現在は屋久島付近にあって、ゆっくりとした早さで北に進んでいます。29日にかけて過去最強クラスの強さで九州に上陸するおそれがあります。30日以降は東に進路を変えますが、予報円は大きいままで、進路がまだ定まっていません」
市村気象予報士
「時間帯別に警戒が必要な期間を見ていきます。まずは大雨ですが、29日は奄美・九州・四国・近畿、さらには台風から離れた東海や東北で大雨の警報がいつ発表されてもおかしくない状態になっています」
市村気象予報士
「暴風の警戒期間を見ると、29日は九州や四国で、30日以降は近畿や東海など、次第に範囲が広がる見込みです。外に避難すること自体が危険な場合もあります。命を守る行動をお願いします」
(8月28日放送『news zero』より)