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ネズミや「ブラックバス」「ブルーギル」 各地で“駆除作戦”実施 “外来種ゼロ”達成の自治体も

2023年9月11日 21:16
ネズミや「ブラックバス」「ブルーギル」 各地で“駆除作戦”実施 “外来種ゼロ”達成の自治体も

「ネズミ」などの街の“やっかいもの”や、「ブラックバス」「ブルーギル」といった生態系に危険を及ぼす外来魚を駆除する取り組みが行われています。各地で繰り広げられている“駆除作戦”を取材しました。

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ネズミ駆除業者シー・アイ・シー 高橋克也さん
「ネズミが掘った巣穴です」

街中に潜む“やっかいもの”、ネズミ。駆除業者を取材しました。見せてくれたのは、ネズミ駆除用の薬剤が入ったエサ箱です。

ネズミ駆除業者シー・アイ・シー 高橋克也さん
「ここは完全に食べられていますね」

業者に駆除を依頼したのは、東京・千代田区です。

千代田保健所・生活衛生課 市川健介課長
「ネズミの苦情というのは、多い年で100件くらい。令和に入ってから年間200件前後に急激に増えた」

飲食店が出したゴミをネズミが荒らし、道路が汚れるという苦情が急増しています。区は今年から区の全域で対策をはじめ、特に集中的に実施したエリアが、東京23区のほぼ真ん中、JR「神田駅」周辺です。

街の人
「家と家の間でちょろちょろと歩いていたりすることある」

区は対策として、8月からエリア内の41か所に薬剤入りのエサ箱を設置。定期的に中身を確認し、エサが食べられた跡があればネズミがいると判断します。

ネズミ駆除業者シー・アイ・シー 高橋克也さん
「これも食べられています」

1か月ほど前は35か所で痕跡が確認されましたが、11日は12か所。約3分の1まで減りました。

ネズミ駆除業者シー・アイ・シー 高橋克也さん
「ネズミにエサを与えない、すみかをなくす。減らしたネズミが増えづらい環境をつくっていくことを地域と一体になって実施する」

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街ぐるみで行われる“やっかいもの”駆除作戦。それは日本最大の湖・滋賀県にある琵琶湖でも行われていました。

記者(滋賀・琵琶湖、10日)
「たくさんの人が集まっていますね」

ここでの“やっかいもの”は、もともと琵琶湖に生息していなかった「ブラックバス」や「ブルーギル」など、生態系を壊す危険性がある外来魚です。

琵琶湖を戻す会 高田昌彦さん
「『外来魚駆除大会』という名前で釣り大会をスタートしました」

10日も、ブラックバスなど、多くの外来魚が参加者によって釣り上げられ、1日で約10キロ集まりました。多い時は300キロほど釣れたということで、改善傾向ではありますが――

琵琶湖を戻す会 高田昌彦さん
「(今も外来魚が)異常に多い状態であることに変わりません。そのことを皆さんにわかってもらうために開催しています」

釣った外来魚はただ駆除するだけでなく、魚粉にして再利用しているということです。

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“外来種ゼロ”を実現した自治体もあります。

今年2月、東京・港区が有栖川宮記念公園で行ったのは、池の水を全部ぬく大胆な“駆除作戦”です。そのターゲットは、外来魚の「ブルーギル」です。

東京・港区 環境リサイクル支援部 大浦昇環境課長
「これまでは有栖川公園にいなかったブルーギルが、近年かなりいることがわかってきました」

15年ほど前は見つかっていませんでしたが、近年、数を増やしていることがわかったのです。調査の最中には、特定外来生物の「ヨーロッパオオナマズ」も見つかりました。捕獲した魚から在来魚は池に戻し、外来種は原則、処分するという気の遠くなるような作業でした。

そして今年の夏、池を調べてみるとブルーギルはゼロでした。

東京・港区 環境リサイクル支援部 大浦昇環境課長
「前年度、ブルーギルが2000匹以上、採取されたんですけど、今年度は1匹も採取されませんでした」

区は引き続き生態調査を行っていく予定だということです。

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外来種は繁殖力が強く、対策に多くの労力と時間が必要となります。私たちができる対策について、外来種対策に詳しい専門家に話を聞きました。

国立環境研究所 五箇公一室長
「自分がいったん管理したものは逃がさないことが大事です。(生き物が)死ぬまで面倒を見ることが飼育の鉄則で、飼い切れなくなったから逃がすのは絶対にしてはいけない。逃げないように管理するのが大事になってくる」

専門家は「外来種問題は生態系すべてに関わる問題で、一人ひとりが意識して生活すべきだ」と呼びかけました。

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