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祭りの継承を通じて地域の結束を目指す『守りたい!地域の祭り=コミュニティ』【ちゃれんじ探究クラブ】

2022年9月26日 21:11
祭りの継承を通じて地域の結束を目指す『守りたい!地域の祭り=コミュニティ』【ちゃれんじ探究クラブ】
ちゃれんじ探究クラブ

――生徒が自ら課題を設定し、情報を集めて分析して答えを導き出す。いわゆる探究学習が全国の高校で本格的に導入されています。このコーナーでは、その探究学習に取り組む高校生にお話を伺います。3回目のゲストは、山口県萩市から鎌田美萩(かまた・みはぎ)さんです。

山口県立萩高等学校3年、鎌田美萩です。よろしくお願いします。

――鎌田さんが取り組んでいるプロジェクトは何ですか。

「守りたい地域の祭りはコミュニティ」というタイトルのプロジェクトです。

――地域のお祭りを守りたいと言うタイトル。どんな取り組みなんですか。

私が住む山口県萩市大屋地区で行われている江戸時代から続く「伊達小荷駄(だてこんだ)」という祭りです。この祭りは、布団を重ねて飾る とてもユニークな祭りで、それを何とか次世代に受け継いでいくことはできないかと考えて、取り組みました。

――布団を重ねて、それが街の中を練り歩くお祭りなんですか。

江戸時代や以前はきれいな色の布団を重ねて、その上に神様が祀ってある御札とかをお貼りして、それを馬に乗せて町内を練り歩いていたんですが、最近は簡素化されてしまって、大屋地区にある公会堂に一昼夜 飾りを置くだけとなっています。
そして、地域住民の人であっても、その存在を知らない人もいます。

――お祭りに着目してプロジェクトをしてみようと思ったきっかけは何だったのですか。

このプロジェクトは萩探究部という慶応義塾大学の学生さんと一緒に萩を舞台に探究力を養おうというプロジェクトに参加したのがきっかけです。その活動の中でテーマを決める時に小さい頃に「伊達小荷駄」に訪れて、一緒に写真を母に撮らされたんですけど、その時に「何だこの祭り?」と思ったことを思い出して、行ってみようと公会堂を訪れてみたら、小さい頃に訪れた時と同じように私と母以外に見学者が誰もいなくて、こんなに立派なものが飾ってあるのに、見る人がいないのってすごくもったいないと感じたのと、せっかく行っているのに人がいないってすごい寂しいなと感じました。すごくきれいに布団が積まれているので、何でみんな見に来ないんだろうと思ったのがきっかけです。

――布団がのっているっていうのは、すごくユニークだと思いましたし、江戸時代から続いているというのは、本当にその地域にとっての大切な伝統の行事の一つだと思うんですが、久しぶりに訪れた時も、全然人が来てなかったんですか。

はい。「伊達小荷駄」が、今、簡素化された状態で行われているので、それを以前のように馬にのせて行うことで、大屋の住民だけでなく、より多くの人に知ってもらえるのではないか。知ってもらえれば、その次の年からも人が見に来てくれて、大屋がもっと活発な地域になったらいいなと考えました。

――次に、どんなアクションを考えたんですか。

まずは若者に「伊達小荷駄」について知ってもらおうと考えて、そのためには馬に載せて行うのが一番手っ取り早いのかなと考えたので、まずは大屋の町内会長さんのもとにインタビューに行き、大屋の方々がどんな風に「伊達小荷駄」について考えているのかお伺いしました。

――お話を聞いてみて、どんなことが分かりましたか。

町内会長さんにはこの行事は「伊達小荷駄」をすぐに元のようにするのは難しいだろうと言われてしまって、その理由がその大屋の高齢化と新たに引っ越してきた人々が多くて、そういう方々は「伊達小荷駄」について知らないのではないかとお答えをいただきました。

――鎌田さんはどう考えたんでしょうか。

まずは私も最近、大屋にいっぱい人が引っ越してきたなとは実感はしていましたが、やはりデータとして見てみたいと考えたので、住民の住み替わりについて1978年と90年と2019年の地図を見比べて、家の上に「何さん」「何さん」とゼンリンの住宅地図に書いてあるのを、
この名字は変わってない。ここはここに替わったと色分けして調べました。 

――鎌田さんとしては、江戸時代のあのお祭りの形を復活させたいという思いがあって、ちょっと壁にぶつかっていますけど、どう打破したんですか。

復活させるのは難しいなと考えたので、「伊達小荷駄」がこの先も存続していくためにはどうしたらいいのかを考えて、「伊達小荷駄」の中に「祝い唄」という口頭伝承されてきて、今では90代の方2人にしか歌うことができない歌があることがわかったので、それだけでも守ることができないかなと考えました。 
17年ほど前に、カセットテープにその「祝い唄」を録音していて、そのカセットテープを金谷天満宮の関係者の方からお借りすることができたので、それをデジタル化して「伊達小荷駄」の現在や過去の写真と一緒に動画にしたものをYOUTUBEにアップロードしました。
  
――それは本当に鎌田さんの世代だからできる新しい伝承の形ですね。このお祭りを通じて、どのように萩市を盛り上げていきたいと思ってるんですか。

萩市には他にも小さいお祭りがいっぱいあって、私が小さいお祭りを守る活動を行うことで、他のお祭りも継承していかないといけないという認識を高めることができれば、その地域の人々の間でのお祭りを開催するという共同作業の中でつながりが生まれていき、萩市の中の結束が深まっていけばいいなと考えています。

――そのお祭りの可能性ってどんなものを感じましたか。

金谷天満宮の宮司さんのお話を伺ったときに、お祭りがその地域のつながりをつくっているっていうお話をしてくださって、人と人とのつながりをつくることができるのがお祭りの役割の1つなのではと感じています。

――夢とか目標ってあるんですか。

萩市や、地方に貢献できるようなお仕事に就くことができたらいいなと考えています。

聞き手 鈴江奈々(日本テレビアナウンサー)
取材協力 認定NPO法人 カタリバ
     全国高校生マイプロジェクトアワード実行委員会

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