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「ノーマスク客」宿泊拒否OKに?――政府が法改正へ 背景に“外国人観光客” ホテルや旅館「断る理由になる」…「今さら」の声も

2022年9月22日 11:47
「ノーマスク客」宿泊拒否OKに?――政府が法改正へ 背景に“外国人観光客” ホテルや旅館「断る理由になる」…「今さら」の声も

理由なくマスクをしない客の宿泊を拒否できるようにしようと、政府が法改正する方針です。新型コロナウイルスの感染状況が収まってきている今、打ち出した背景には、外国人観光客の存在があります。宿泊施設の負担は減る可能性がありますが、課題もあります。

■感染減のなか…「宿泊拒否」法改正へ

有働由美子キャスター
「ホテルのフロントでチェックインしたお客さんがマスクをしていなかったので、スタッフが『マスクをしてください』とお願いし、特に理由なく(着用を)拒否された場合、今の法律では原則、宿泊を断れません」

「これを、感染症が流行している時に限って断ることができるように、政府が法改正する方針であることが分かりました。感染が収まってきているなかで、なぜ今なのでしょうか」

■海外客の増加見込み…トラブル防止へ

小栗泉・日本テレビ解説委員
「1つには、今後の水際対策の緩和があります。エリザベス英女王の国葬の時の映像でも、沿道に詰めかけた皆さんはノーマスクでした。海外ではマスクをしない人も増えているなかで、政府は今、海外からの入国者数の上限撤廃や個人旅行の解禁などを検討しています」

「こうした緩和で外国人観光客が増えた時、ノーマスクの客に『日本では法律で決まっているので…』とお願いできるようにすることで、トラブルを防ぐ目的があります」

■法律の整備で…宿泊施設の受け止めは

小栗委員
「実際、東京・浅草にあるホテルでは、理由なくマスクをしていない日本人のお客さんに対し注意しても聞き入れてもらえず、あきらめて宿泊を受け入れたことがあったそうです。ホテルの方は『法律として定めてくれたら断る理由になる』と話しています」

「一方で沖縄のホテルからは『正直、今さらと思った』、神奈川・箱根の旅館からは『法律ができたからといって、強く断るのは難しいのではないか』といった声も聞かれました」

■流行時とは?…辻さん「基準明確に」

辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「マスク着ける、着けないのトラブルはこの数年で何度も話題になっていますし、ホテル側だけではなく別のお客さんとのトラブルになり得ます。『法律なので』と説明できることはホテル側の負担が減りますし、いいのではないかと思います」

「ただ、改正案の『感染症が流行している時に限る』という表現が少し気になりました。感染状況も変わりますし、個々人の判断に委ねない明確さが必要なのかなと思います」

■過去には差別的な「拒否」事案も

有働キャスター
「(新型)コロナ以外の感染症でも適用されるのでしょうか」

小栗委員
「そこはまさに問題の点で、何でもかんでも拒否することにならないよう、対象となる感染症を今後明確にすることにしています」

「また、過去には事業者がハンセン病の元患者の宿泊を拒否する事案も起きています。差別を防ぐためにガイドラインを作り、ホテルや旅館には従業員の研修を努力義務として課すことなども盛り込む考えです」

有働キャスター
「少し前まではマスクするのが当たり前でしたが、今は『もうしなくていいんじゃない?』という人と、『やっぱり必要だ』という人が入り交じっています。みんなが気持ちよく泊まるためのローカルルールを明確にするのは、脱マスクの話とは別に必要なのでしょう」

(9月21日『news zero』より)