【気象解説】ノロノロ「台風 10号」 “徒歩並み”の速度で、なかなか進まず…なぜ?
なかなか進まない「台風10号」ですが、今後はどうなるのでしょうか?
気象予報士の市村紗弥香さんが詳しく解説します。
市村紗弥香 気象予報士・防災士
「上の画像は、気象衛星からの雲の様子です。
台風10号は、27日朝、『非常に強い』勢力となりました。
かなり発達したため、台風の目もはっきりとしてきています」
市村さん
「そして、27日午後11頃に更新された予報円では、奄美市の東の海上でほとんど停滞しています。
28日(水曜日)にかけてはゆっくりと進んで、奄美地方や九州南部にかなり接近する見込みです。そのため線状降水帯が発生し、大雨災害の危険度が急激に高まるおそれがあり、厳重な警戒が必要です」
「さらに、予想される最大瞬間風速は奄美で70メートル、九州南部でも65メートルと、一部の家屋が倒壊するような猛烈な風が吹く可能性があります。
29日(木曜日)以降はゆっくりとした速さで九州に接近・上陸するおそれがあり、その後、列島を縦断する可能性があります」
藤井貴彦キャスター
「なぜ今回の台風は、ゆっくりと動く予想になっているんでしょうか?」
市村さん
「そもそも台風というのは、自分で動く力はありません。
本来、台風は太平洋高気圧の周りにある『風』に乗って北上するんですが、いま、この太平洋高気圧がやや東に退いていて、風と台風が離れているんです。そのため、その風に乗れない状況となっています。
また、北上したあとには、上空にある偏西風に乗って東に進むことが多いんですが、その偏西風もいま、列島のかなり北を流れているため、この風にも乗れない。つまり、台風を動かす風が周りにない状況となっています。そのため、ゆっくりと進んでいて、影響が長引きそうなんです」
市村さん
「上の画像は、雨と風の予想を表したものなんですが、奄美地方では暴風域に入っていて、台風本体の活発な雨雲がかかっています。
西日本も、28日は太平洋側を中心に、激しく雨が降ったり、猛烈な風が吹いたりするおそれがあります」
市村さん
「大雨と暴風に警戒が必要な地域と期間をあらわした上の図を見ると…赤色になっているところが、警報が発表される可能性の高い期間です。
27日夜、すでに岩手県では線状降水帯が発生しましたが、28日(水曜日)は台風に近い奄美や九州南部、そして湿った空気が流れ込む近畿・東海の太平洋側でも警報級の大雨のおそれがあります。
台風がゆっくり進むため、31日(土曜日)にかけても大雨が続いて、総雨量がかなり多くなるおそれもあります。また、暴風も加わって、外に出るのが危険なほどの荒れた天気となりそうです」
藤井キャスター
「これだけ広く長く影響が出そうですけれども、台風への準備とともに、仕事に影響でている方もたくさんいらっしゃるようですね?」
水野美紀さん(俳優・『news zero』火曜パートナー)
「そうですね。私も撮影のスケジュールが急に変更になったりとかしました。天気予報とスケジュールとこまめにチェックしてる状態なんですけど、この間、マンホールのふたが飛んでしまうような被害もありましたので、お子さんの通学路の危ない場所だったり、通勤の危ない場所だったり、避難する場所などを確認して、本当に皆さん、身の安全を守っていただきたいなと思います」
市村さん
「そうですね。まだ来ないからと安心せず、最新の情報をこまめに確認して、早めの備えをお願いします」
(8月27日放送『news zero』より)