「気力を失って悲惨な状況」 過疎化・高齢化地域の過酷な避難生活 災害看護支援チームが見た被災地
能登半島地震から1週間。過疎と高齢化が進む被災地に入った災害看護の支援チームは、避難所での介護と災害関連死が懸念される中、継続的なサポートを訴えています。(1月8日)
日本災害看護学会の副理事長で福井大学名誉教授の酒井明子さんは、地震発生の翌日・2日にメンバーたちと石川県の珠洲市などに入り、壊滅的な被害を目の当たりにしました。
■酒井さん
「(去年5月の地震から)やっと家を修復して一歩一歩やってきたところが全部倒壊して全壊になって、津波で一気に流された方が良かったと思うくらい。後片付けする気力もないし、寒さの中で気力を失っている状況。今回は悲惨な状況」
過疎が深刻な能登で発生した地震は、避難する側と支える側がともに高齢者という厳しい状況です。
ほとんどの人が着の身着のまま避難したことで、薬を持ち出せず持病が悪化したり断水でトイレが使えなかったりするなど介護には苦労が重なります。
■酒井さん
「トイレの(介護や後始末)対策に1日かかっている状況。避難所の運営をしていた地元の人も疲弊しているし、避難所が老人施設のようで人手がかかる。物資や清潔ケア型が不足し災害関連死が発生している」
さらに長引く避難生活の疲れで免疫力が低下し、大勢が密集していることで新型コロナやインフルエンザの感染が相次いでいるということです。
県内でも高齢化が進む中、酒井さんは災害への備えについて、個人や家族、それに地域単位での備えを呼びかけます。
■酒井さん
「(地域の状況によって)高齢化が高いところや孤立しそうなところと、都会やマンションだったり地域性があるので、特性を考えてコミュニティの中での備蓄をどうしていくのか。避難するときの個人個人の計画を丁寧に立てて、本当に避難できない人が地域のどこにいるのか、避難を誰がどのように支援するのか。取り残されていく人に皆さんが目を向けていくことを日頃から行うことが大切」
長引く避難生活で高齢者の災害関連死が懸念される中、日本災害看護学会では継続的なサポートを訴えています。