福岡市地下鉄七隈線延伸から半年 異例のダイヤ改正で『超・満員電車』解消は
福岡市地下鉄の七隈線が博多駅まで延伸して、9月27日で半年です。利便性が大きく向上した一方で、一番の課題は、ラッシュ時の『超・満員電車』です。福岡市は異例のダイヤ改正で、混雑解消を図っています。
福岡市城南区にある『中村学園大学』硬式テニス部の練習で汗を流すのは、ことし4月に入学した川中晴翔さん(18)です。部活を終え、午後8時ごろ帰路につきます。
■中村学園大学1年生・川中晴翔さん(18)
「七隈線を使って博多まで行って、そこから折尾まで行く。(Q. 通学は慣れた?)慣れましたね。」
川中さんは北九州市八幡西区の実家から大学に通っているため、帰宅する際には、福岡市地下鉄七隈線の別府駅から博多駅まで行き、JRに乗り換えます。実家に近い折尾駅に到着したのは、午後9時40分ごろでした。通学にかかる時間は、片道1時間半ほどです。
地下鉄の七隈線が延伸していなければ、もう20分ほどかかるはずでした。
■川中さんの父親
「一緒に住んでいるので、うれしいですね。通学時間が少ないというのと、下宿せずに済んだのは大きい、経済的にも。」
一人暮らしにかかる費用より、定期代のほうが安く済むこともあり、実家から大学に通うことを決めたといいます。
■川中さん
「経済面でかかる費用が違う。(定期は)半年分買っているが、10万円くらいで済む。一人暮らしだと、2か月で10万円いくので全然違います。」
ことし3月27日に、天神南駅から博多駅まで約1.6キロの区間が延伸開業したことによって、七隈線の各駅から博多駅までの所要時間は、それぞれ14分ほど短縮されました。
地元の不動産会社によりますと、七隈線の沿線では、大学生向けのアパートから退去するケースが見られるようになったといいます。大学までのアクセス向上に伴い、学生が実家から通うことにしたためとみています。
一方で、ファミリー向けの物件は需要が高まっています。
■三好不動産 別府店・小園太一 店長
「6月ぐらいから家賃が上がってきています。2月の段階では去年より2000円上がって、その後4月に空いた物件はさらに3000円上がって、今空いている物件は、さらに5000円上がって9万円で募集している。」
七隈線は、新型コロナウイルスの感染拡大前に比べ、1か月の乗客数が4万人ほど増加しています。こうした中、大きな課題となっているのが、朝と夕方の通勤・通学時間帯に発生する『超・満員電車』です。
■鬼丸ゆりか記者
「先頭車両に続々と人が乗り込んでいます。入り口付近、ギリギリのところまで人が立っています。」
9月22日(金)午前8時すぎの福岡市地下鉄七隈線六本松駅の様子です。
キャリーケースを持った女性が地下鉄に乗り込もうとしますが、車両から離れてしまいました。スペースがなかったため、いったん乗車を諦めて次の便を待つと話していました。
■通勤で七隈線を利用(30代)
「(七隈線延伸開業前は)立っていても人と触れ合うことはほぼなかったんですけど、肌感1.5倍から2倍くらい多い感じですね。お客さんが。」
こうした混雑の緩和を図るため、福岡市は8月、延伸開業から半年もたたない異例のタイミングでダイヤ改正を行うことを決めました。午前6時から午前8時半の間に2往復、午後5時から午後7時の間に4往復増便しました。
混雑する時間帯を色分けしたものです。赤は、新たに乗り込むことが難しいとされる『乗車率140%超え』を示しています。延伸1か月後は、別府駅から天神南駅の午前7時半から8時半に混雑が集中していましたが、増便後の9月21日は、赤の部分がありませんでした。代わりに目立つオレンジ色は、乗車率が120%から140%だったことを示しています。
■福岡市交通局 運転課・福井新之助 課長
「現在、延伸直後に見られた混雑は落ち着いている状況と認識している。なお、七隈線は中間車両に比べて先頭車両にお客様が集中する傾向があるので、先頭車両を避けてご乗車いただくなど、お客様のご協力もお願いします。」
利用者に話を聞きました。
■通勤で七隈線を利用(30代)
「最近ダイヤが変わったということがあったので、それで少しいいような気がするけど、まだちょっときついというのがありますね。」
増便による一定の効果は出ていますが、利用者が混雑に悩まされる日々は続きそうです。