1万8000棟が全壊と想定 福岡県の活断層と地震のリスクは 住宅の耐震化に課題も
能登半島地震は発生から5日目となりました。多くの活断層がある福岡県の地震リスクは人ごとではありません。被害を減らすには住宅の耐震化が有効ですが、一部で進んでいない現状もあります。
5日午前、福岡県庁では、能登半島地震の被災者を支援するための義援金の受付箱が設置されました。
■服部知事
「みんなで支えよう、北陸をの気持ちを込めて、どうか義援金へのご協力をよろしくお願いします。」
元日に起きた能登半島地震では、これまでに石川県で92人の死亡が確認され、安否が分からない人も多くいます。
気象台では、今後30年以内に福岡県で同じような規模の地震が発生し、甚大な被害をもたらす可能性は十分にあると指摘します。
■福岡管区気象台地震津波防災官・高橋冬樹さん
「ふだんあまり考えられないかもしれませんが、実は身の回りにいろんな活断層があり、福岡県にも活断層がこれだけあるということですね。」
リスクの一つは、活断層が身近に複数あることです。
福岡市の中心部を通る警固断層帯は、特に警戒が必要だと指摘します。
■福岡管区気象台地震津波防災官・高橋冬樹さん
「北西部はすでに活動しました。2005年の3月20日に起きたマグニチュード7.0の地震ですね。これが(活断層の)北西部で、ただ南東部がまだ起きていない。これが非常に気にかかるところですね。」
国の地震調査研究推進本部によりますと、他の断層と比べて地震の発生確率が高いとされる「Sランク」に位置づけられる警固断層帯では、マグニチュード7.2程度の地震が想定されていて発生した場合、福岡市の多くの場所で震度6強以上の揺れが起きると予測されています。
また、福岡県が去年まとめた防災計画によりますと、建物はおよそ1万8000棟が全壊すると想定されています。
■福岡管区気象台地震津波防災官・高橋冬樹さん
「決して人ごとではない。自分のすぐそばにも活断層があるということを意識していただく必要があるかと思います。」
被害を最小限に抑えるために欠かせないのが住宅の耐震化です。
■平石千夏記者
「建てた後からでも、住宅の耐震化のために追加できる『補強』があります。」
紹介してもらったのは、住宅の基礎に鉄筋を打ち込んだり壁に補強材を取り付けたりして、耐震強度を上げる方法です。
福岡県では2018年時点で住宅全体の耐震化率は89.6%ですが、このうち木造の戸建て住宅の耐震化率は78.3%にとどまっています。
■福岡県建築住宅センター・木村武彦さん
「(耐震化が進んでいない家では)かなり揺れます。ここに筋かいを入れてみますね。先ほどと違って、建物の揺れが収まる。」
ただし、住宅の大規模なリフォームには費用も時間もかかるため、すぐに取り付けられるものとしては、ホームセンターなどで購入できる家具の固定用品や、地震の揺れを検知して自動でブレーカーが落ち、火災を防ぐ1万円ほどの機器も有効です。
古い住宅などで耐震化が進んでいない現状について、福岡県の担当者は危機感を強めています。
■福岡県 住宅計画課・小河善徳さん
「(木造戸建て住宅の)2割以上が耐震化されてないというのは、安全な住宅という面では問題があると考えています。いまさらお金をかけて耐震補強するということを考えにくいという方も多い。ただ、まだそこに住んでいる以上は、安全に住み続けるためには耐震化をぜひ検討していただきたい。」
福岡県では、耐震化についての相談窓口を設けているほか、自治体ごとに補助金を出す制度もあり、積極的に活用してほしいと話しています。
耐震化について検討したいという人は、自分の家にどのような補強が必要なのかを診断してくれるアドバイザーを有料で利用することができます。一般診断は6000円です。
床下などには入らず、目視の範囲で診断する簡易診断は3000円です。
こちらの事務局では無料の相談も受け付けています。そして、耐震化の工事が決まったら費用の一部について補助金を受けることもできます。
補助額は自治体ごとに決められているので、住宅のある自治体に問い合わせるようにしてください。