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【速報】博多ストーカー殺人 男に懲役20年の判決 立ち止まったのは3分間→「待ち伏せと言えるかは疑問が残る」ストーカー行為は認定 元交際相手を何度も刺して殺害した罪 福岡地裁

2024年6月28日 15:03
【速報】博多ストーカー殺人 男に懲役20年の判決 立ち止まったのは3分間→「待ち伏せと言えるかは疑問が残る」ストーカー行為は認定 元交際相手を何度も刺して殺害した罪 福岡地裁
寺内被告

2023年1月、JR博多駅前で元交際相手の女性をストーカー行為の末、包丁で何度も刺し殺害した罪に問われた32歳の男に対し28日、懲役20年の判決が言い渡されました。

警察から、つきまといを禁じる命令が男に出ていた中で、女性は理不尽に命を奪われました。検察は懲役30年を求刑し、男と弁護側は待ち伏せを否定し、ストーカー防止法違反の罪については無罪を主張していました。

17日から始まった裁判員裁判では、ストーカー規制法違反が認められるかが争点となっていました。

冨田敦史裁判長は「約3分間と比較的短い時間の立ち止まりで、待ち伏せと言えるかは疑問が残る」として、寺内被告が川野さんを待ち伏せしたことは否定した一方、恋愛感情やそれに基づく恨みの感情から、
つきまとったことはストーカー行為にあたるとして、ストーカー規制法違反は成立するとしました。

検察は懲役30年を求刑していましたが、裁判長は殺人と傷害、銃刀法違反、ストーカー規制法違反の罪で
寺内被告に懲役20年の判決を言い渡しました。

殺人とストーカー規制法違反などの罪で判決を受けたのは、住居不定、無職の寺内進被告(32)です。

起訴状などによりますと、寺内被告は2023年1月16日午後6時すぎ、博多駅近くで、勤務先から帰宅中の福岡県那珂川市の会社員、川野美樹さん(当時38)を待ち伏せし、胸や背中、頭や首を刃渡りおよそ24センチの包丁で10数か所刺して殺害した罪に問われていました。

公判で寺内被告は「刺したことは間違いないが、待ち伏せをしたことは違います」と話し、殺害については認め、ストーカー行為については否認していました。

検察は「一片の慈悲もなく残忍極まりない。短絡的、自己中心的な動機に酌量の余地はない」として、寺内被告に懲役30年を求刑していました。

一方、弁護側は「待ち伏せしていたのではなく、携帯電話の滞納料金を払おうと偶然、博多駅近くにいた。川野さんに会ったのは思いがけないことだった。包丁は護身のため持ち歩いていたもので計画性はない」と主張し、殺人については認めるものの、ストーカー規制法違反については無罪だとして懲役17年が相当としていました。

検察は公判で、交際が終わった後も寺内被告が川野さんの会社で待ち伏せしたり、「何年かかってでも恨んだるから覚えとれや」「あんま舐めてると後悔すんぞ、わしはしつこいからの」などのLINEメッセージを送りつけたり、会社に電話をかけたりと、行為がエスカレートしていく様子を明らかにしました。

川野さんは警察に相談し、警察はストーカー規制法に基づき、繰り返してつきまといをしてならないとする禁止命令を寺内被告に出しました。

しかし、およそ1か月半後の2023年1月16日、事件は起きました。検察は当時、寺内被告が川野さんを3分間待ち伏せし、帰宅するため会社を出て博多駅に向かっていた川野さんに声をかけ、173メートルついていった後、襲ったと指摘しました。

検察は法廷で、寺内被告が川野さんを襲った際の付近の防犯カメラの映像を公開しました。

映像はそれぞれ、数秒から数分程度の4本で、そのうちの1本には、寺内被告が体を近づけた直後、川野さんが前のめりに倒れ、うつ伏せの状態になった川野さんに、寺内被告が何度も大きく腕を振り下ろし、動かなくなった川野さんをそのままにして、走り去る様子が遠目から捉えられた映像でした。

検察は川野さんが頭や首、胸などを少なくとも17回刺され、背中からの傷は深さ19センチに及び体を貫通していて、頭蓋骨には折れた包丁の刃先が突き刺さっていたと明かしました。

また、弁護側の証人として臨床心理士が出廷し、被告の男は幼少期に受けた虐待などにより、ストレスに耐える力が弱かったと説明しました。

臨床心理士は拘置所で寺内被告と11回面接し、犯罪心理の鑑定をするため8種類のテストを実施した結果として「寺内被告は小学校時代から父親から身体的虐待を繰り返し受けた影響などで、ストレス耐性が弱い。PTSD=心的外傷後ストレス障害の疑いがある」と証言しました。

公判では川野さんの母親の意見陳述も読み上げられました。川野さんにどれだけ愛情を注いでいたか、小さなころからダンスが好きで、弱音を吐かず、明るく友達も多かったこと、出産後に離婚して家族のために大黒柱として生活を支えていたこと、会社で昇進し「仕事が楽しい」と話していたことなどが述べられました。

そして「これ以上関わりたくない。逆恨みが不安です」とした上で「死刑にしてほしい。死刑にしても娘は戻ってきませんが、極刑を望みます」と訴えました。

また、孫は今も学校に通えていないと明かし「胸に穴が開いたようで、さみしさや切なさ、思い出ももう作れないと感じる。ストーカーによる重大事件は後を絶ちません。娘はストーカーの被害を受け、できるだけの手段を尽くしました。やりきれなさを感じます。できるだけの厳しい処罰をしないと、悲しい事件を防げない。できるだけ長く刑務所に入ってほしい」としました。

寺内被告は最終意見陳述で、「ご遺族の方、この度は大事な娘さんの命を奪ってしまい申し訳ございませんでした。お孫さんの成長を見守る母の権利を奪ってしまったこと申し訳ありません。毎日毎日後悔しています。幸せな家族の時間を奪ってしまい申し訳ありません。傷害事件の被害者の方、ケガをさせてしまい申し訳ございません。すべてにおいて僕が悪いと思っています」と述べました。

裁判長が「これでいいですか」と問うと「ほんまに待ち伏せなどしていません」と改めてストーカー行為を否定しました。

寺内被告は2022年8月に福岡市博多区の路上で、川野さんに声をかけた男性を殴って顔の骨を折るなど7か月の大ケガをさせた傷害の罪で、裁判官による量刑を決めない「部分判決」で、すでに有罪が言い渡されています。

判決は、この部分判決も踏まえて量刑を判断し、28日午後3時から言い渡されました。

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