【教員の働き方】過労死で夫を亡くした妻そして現役教員として 過酷な現状に「目をそらさないで」福岡
おととし、福岡市の市立小学校に勤めていた当時40歳の男性教諭が急性の心臓病で命を落とし、ことし、長時間勤務による公務災害と認定されました。教諭の妻が福岡市に損害賠償を求めた裁判が22日始まり、自らも教員の妻は、過酷な教員の働き方について対策を進めるべきと訴えました。
■亡くなった男性教諭の妻
「夜中に誰もいない学校に行って。夜中に働いて朝帰ってきて。土日に子どもと過ごせるようにしてくれていました。」
福岡県内に住む40代の教員の女性。女性の夫は福岡市の小学校教諭でしたが、おととし11月、急性の心臓病で命を落としました。40歳でした。
男性教諭は当時、教務主任として教育指導計画の作成などにあたっていましたが、産休や病気で担任が不在になった2クラスのため、授業の準備など担任を代行する役割も担っていたということです。
亡くなる直前の1か月間は週に平均20時間以上の時間外勤務と認められ、「過重な長時間勤務による業務負荷があった」として、ことし5月には「公務災害」と認定されました。
■亡くなった男性教諭の妻
「夫が亡くなる直前、顔色が悪くきつそうでしたが、手を抜いたり休んだりすることはできませんでした。目の前の子どもたちや職員の皆さんに迷惑がかかると考え、追い込まれていました。」
男性教諭の妻など遺族は福岡市を相手取り、およそ1億4000万円の損害賠償を求める訴えを起こし、21日午後、裁判が始まりました。
第1回口頭弁論を終えた女性は、夫を亡くした遺族として、自らも教育現場の過酷な現状を知る現役教員として、教員の働き方について国として対策を進めるべきと訴えました。
■亡くなった男性教諭の妻
「朝、学校に来てから帰るまでに、それぞれの立場の教員が、どんな仕事をしているのかを知ってほしい。疲弊した状態ではなくて、生き生きとした状態で子どもの前に立てるような、そんな当たり前のことですが、そんな学校にしていかないといけない。そこから目をそらさないでいかないといけないなと思っています。」
一方、福岡市は、遺族の訴えに対して請求の棄却を求めました。