【小林製薬の紅麹】福岡県内の健康被害は25人に 関連商品の多くを輸出した会社では自主回収が進まない現実も
紅麹をめぐる健康被害の問題で、製造元の小林製薬は29日、改めて謝罪しました。福岡県内で健康被害を訴えた人は25人に上っていて、商品の回収など影響も広がっています。
■阿部まみフィールドキャスター
「こちらの薬局では今回の対象商品はすでに回収されていて、売り場は空になっています。」
福岡市を拠点に薬局をチェーン展開する新生堂は、問題発覚当日に全52店舗から紅麹を使った小林製薬のサプリメントを回収しました。客からは「小林製薬のほかの薬を飲んでいるが大丈夫か」という問い合わせもあったといいます。
全国で拡大する紅麹による健康被害で、福岡県内で亡くなった人はいませんが、健康被害を訴えた人は28日時点より8人増え、25人になりました。
29日、福岡県八女市の酒造会社「喜多屋」を訪ねました。
■喜多屋・木下宏太郎 社長
「50本ぐらい。いま戻ってきているのは。」
自主回収したのは、発泡性清酒「あいのひめロゼ」と「あいのひめ紅」です。いずれも小林製薬の紅麹を使って着色していました。鮮やかなピンクが外国人にも人気が高く、全体の販売数量のおよそ8割が海外に輸出されています。
■木下社長
「この商品に関してはアメリカが1番の販売先、2番目が中国。毎日、電話・メール・テレビ会議で打ち合わせして、リコール、現地での回収、被害が新たに起きないように対策に当たっている。」
現在までに輸出したすべての商品を回収するメドは立っていません。
また、冷蔵庫には出荷が予定されていたおよそ3000本が残ったままとなっています。
■木下社長
「悲しいですね。一生懸命、蔵人・社員が作った。おそらく廃棄する。」
小林製薬からは29日午前、「回収の現状を知りたい」という内容のFAXが届きました。
■木下社長
「(Q.金銭の補償という話もでているが?)補償しますという文書はもらっていない。それは最低限やるだろうと期待している。」
客から健康被害の報告は受けていませんが、木下社長は小林製薬に早急に原因をつきとめてほしいと訴えます。
■木下社長
「使用量は低いものの、紅麹そのものに消費者の不安が残ったままだと、この商品を販売終了せざるを得なくなる。」
福岡県は、対象商品の使用を控えるとともに、健康被害が疑われる場合は保健所に相談するよう呼びかけています。
また、新たな情報によると、小林製薬の紅麹原料を使っていたとして自主回収が進められていた、福岡市の通販会社「ZEROPLUS」の「悪玉コレステロールを下げるのに役立つ濃厚チーズせんべい」について、小林製薬が発表した未知の想定していない成分が含まれる製造ロットの紅麹原料は使われていなかったことが分かりました。
「ZEROPLUS」は、この商品には健康被害の恐れのある成分は含まれていないとしています。
ただ、この商品については、「ZEROPLUS」が消費者庁に「機能性表示食品」としての届け出を撤回していて、健康被害の可能性はないものの、引き続き回収を呼びかけているということです。