広島のソウルフード『お好み焼き』を世界へ ある食材のトッピングが地元に貢献!?【アナたにプレゼン・テレビ派】
広島テレビのアナウンサーが気になるテーマを自ら取材してお伝えする『アナたにプレゼン』。地方創生をお伝えする宮脇靖知アナウンサーが、広島を代表するグルメ「お好み焼き」を世界へ、さらにある食材で広島を盛り上げる取り組みをプレゼンします。
その取り組みをしているのは、1999年の創業当初、数席だけの小さなお店からスタートした『ちんちくりん』です。現在、広島県内に7店舗、東京と埼玉、さらにはアメリカのロサンゼルスにも3店舗あります。
お店を率いるのは、社長の川上博章さんです。自らもお好み焼きを焼いています。広島出身の52歳で、機械設計の仕事をしていた経験もあり、自分たちで使う鉄板も作っています。ロサンゼルスへの出店の理由は「お好み焼きであったり、ソース、鉄板の文化を世界に広めたいから」だそうです。一言で言うと『広島愛』です。
ロサンゼルスのリトルトーキョー店は、連日、行列ができるほど人気だそうです。店内はおよそ60席で、週末になると300人が訪れます。鉄板がはめ込まれた机で食べられるお店は、ロサンゼルスでこの店舗だけといいます。広島で食べられるお好み焼きはもちろん、アメリカでは豚肉より牛肉が好まれるので、牛ミンチを使ったお好み焼きが人気だということです。
リトルトーキョー店は、2024年3月以降さらにブレイクし、売り上げもおよそ1.2倍になりました。売り上げが伸びた理由は、2024年3月に付近のホテルの壁に、ロサンゼルス・ドジャースに所属している大谷翔平選手が描かれて、観光客に人気のスポットとなったからです。全国的なニュースにもなりました。
店舗を構える『リトルトーキョー』は、アメリカでは最大の日本人街で、日本人も多くいる場所です。3月の落成式では、訪れた多くの人たちがスマートフォンのカメラを壁画に向ける様子が見られました。スマートフォンのカメラを通して見ると、大谷選手が立体的に動きます。この壁画を見るためには、ちんちくりんの店舗の前からでないと難しく、お店に立ち寄る人々もいることから、売り上げが伸びたと言います。 この場所で、広島のお好み焼きが広がっているということです。
今後はリトルトーキョー店でも、トッピングに瀬戸内海で獲れた、小いわしの天ぷらを使ったメニューを加えたいそうです。現在は、日本国内のみのメニューとなっています。
使っている小いわしの天ぷらは「こいカル」という商品で、広島魚市場が作っているもので、およそ2年前にできた商品です。広島県の漁獲量の6割~7割が小いわしですが、人気サイズの8cm~9cm以外はなかなか売れず、場合によっては処分してしまうこともあったそうです。そこで、売れ残るサイズの小いわしを積極的に購入し、粉状にして、加工して天ぷらにした商品を作っているということです。
「こいカル」を知った川上さんは、「イカ天の代わりに、小いわし天を使おうじゃないか。」と、小いわし天のトッピングを店内に置いているそうです。『ザ・広島のもの』をトッピングにしたいという思いがあった川上さんは「お好み焼きのイカ天入りがおいしいとよく言われますが、イカは広島で獲れないので腑に落ちないところがあった」と話します。『コイかる』はお好み焼きにはもちろん、おつまみとしても食べることができます。広島市内のスーパーや土産物売場などに置いているということです。
川上さんの今後の目標は『広島の全てのお好み焼き店に、小いわし天を使ってもらうこと』だそうです。小いわし天を他店にも使ってもらうことで、小いわしの漁をする漁師が増え、小いわしの価値も上がり、広島のブランド化や産業を維持することにも貢献できるのではないかという思いがあり、「広島のためにこれからもお好み焼きを広めていきたい」と話していました。